• 2017.03.14
  • さまざまなジャズの楽しみ方
狂騒の20年代とジャズ界を祝し、ロンドンでは大規模な宣伝を打って、盛大な展覧会を開催しています。
最近始まったこの展覧会は「1920年代のジャズ・エイジとファッション(1920s Jazz Age and Fashion)」展と呼ばれています。
会場となっているファッション&テキスタイル博物館のホールには、当時の息吹がひしひしと感じられ、ゴールデン・エイジのイギリスと世界のファッションに関するとっておきの秘密を知ることができます。スケッチを展示したギャラリー、コーディネートされた何着もの洋服、アイコニックな写真を含む紙文書などから、1920年代のロンドンや街中を席巻したジャズの歴史を学ぶことができます。

ロンドンに着いて無料情報誌『タイムアウト』を1部入手したら、この街のライブミュージックの幅広さにすぐ気が付くはずです。あらゆる音楽ジャンルがカバーされていますが、こうしたライブ音楽シーンの主役は常にジャズです。週末がやってきたら友人や家族との週末の過ごし方を考えなければいけませんが、選択肢は人の多さに対して常に不足しています。しかもここはロンドンですから、どんな天気になるか予想がつきません。寒さや雨にじゃまされないプランを見つけることが重要な要素になってきます。では、市内屈指の有名パブで生演奏を聴かなくても、素敵な夜を満喫するにはどうしたらいいでしょうか?ロンドンには老舗ホテル内の1世紀近い歴史を誇るパブから、郊外にある新進気鋭の小さなジャズクラブまで、ほぼいたるところにジャズを含むライブミュージックを定期的に楽しめる場所が数多くあります。

でも、土曜日にライブミュージックを聴ける場所を市内で探すとなると、どうしても高額になってしまうかもしれません。ほとんどのバーやパブは入場料を取りますし、最低支払額、つまりバーやテーブルでの一定額の支払いを課す店も少なくないからです。とても高額なうえに、テーブルは要予約の場合がほとんどで、テーブルごとの最少人数(たいてい定員4~6名)を設定されることもあるため、あらかじめプランを立てておく必要もあります。友達と素晴らしい夜を過ごしたこともありますが、時にはひとりで音楽に耳を傾けたり、行き当たりばったりで行く店を決められたらいいと思いませんか?無料で生演奏を楽しめる場所は簡単に見つかりますが、たいていはロックンロールやインディーズバンドの演奏です。個人的にはやっぱりロンドンのジャズシーンは圧倒的に素晴らしいし、この街のナイトライフの立役者だと確信しています。


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「North London Tavern」は日曜の夜は毎週ジャズオンリーで、入場料の安いコンサートを開催しています。このパブはロンドン北部で最も人気があり、ビールや音楽を提供するだけでなく、地元で愛されている地中海由来の伝統的な食べ物と、充実したおしゃれなメニューが両方楽しめる最高の食事処でもあります。
「Lamb & Flag」はコヴェント・ガーデン最古のパブのひとつで、私の一押しです。確かに私はコヴェント・ガーデン周辺をとても気に入っていますが、理由はそれだけではありません。こぢんまりとしたこの店はとても個性的なんです。かわいらしい屋外庭園を備えた2階建てのこの店は、伝統的なイギリス料理と音楽シーンに特化していて、ジャズバンドの生演奏がある日曜日は特に必見です。本場ロンドンのトレンドとエンターテインメントの発信地、オックスフォード・ストリートの中心には、小さなジャズクラブがあります。設立されたのは第二次世界大戦よりずっと前で、防空壕として利用されたこともあったそうです。
壁に掛けられた写真には、ビリー・ホリデイやルイ・アームストロング、マディー・ウォーターズといったミュージシャンがこのクラブで曲を披露する姿が写っています。歴史の重みや格調高い雰囲気を漂わせているにもかかわらず、他の店にはないリラックスした気軽さを醸し出していることに驚かされますし、本当に素晴らしいと思います。
ソーホー地区にある何件かのジャズバーでは、ピート・キングやロニー・スコットなど、ロンドンで名高いサックス奏者の姿もかつて見られました。
「Ronnie Scott’s」はロンドンのローカルなライブ音楽シーンの会場として、今、最も繁盛している店のひとつで、古典的なものからフュージョンに至るまで様々なジャズプログラムを用意しています(個人的には古典的スタイルのジャズがより好み)。
流行を適度に取り入れた繁盛店で、食べて、飲んで、踊れるいい店です。
このパブはイギリスの社会生活の中心的存在として知られていて、サッカーから政治まで、注目の話題をえんえんとしゃべり続けることができる場所です。友達に教えてもらった店ですが、カジュアルな雰囲気と居心地のよさにビックリしました(ロンドンではなかなか望めない環境なので…)。まるで友達の家にいるみたいな感じなんですよ。

コンテンポラリー・ジャズ(モダンビートを多く採り入れた新しいタイプのジャズ)に対する人気の高まりを受けて、ロンドン北部近郊の新興地区、ダルストンではここ数年、たくさんのクラブがオープンしました。
この手の音楽ジャンルのファンや最新のロンドンを見つけたい人にはダルストン地区がお薦めです。分散化が進む大都市では、郊外地区がイノベーションや創造力、社交性をはぐくむ場所となることも珍しくありません。
「Big Chill Bar」はイギリスで毎年開催される、有名かつ多彩な魅力にあふれる「ビッグ・チル・ミュージック・フェスティバル」を連想させる名前のバーです。店やギャラリーがひしめくブリック・レーン・ストリートの歩行者専用道路沿いにあって、夜になると多くのDJがR&Bやジャズ、レゲエ、エレクトロニックミュージックなどで盛り上げます。
「サウスバンク・センター」ではここ数年、生演奏セッション「Friday Tonics」を実施しています。音楽ジャンルはさまざまですが、たいていは祝われるフェスティバルやテーマに沿った内容の音楽が演奏されます。「サウスバンク・センター」はこの催しで知られていますが、無料で楽しめるものも数多くあり、誰もが楽しい夜のひとときを過ごすことができます。

音楽シーンを語るうえで、ブリクストンは絶対に外せない場所です。ですから、ここに来たら生演奏の聴けるパブをぜひ訪れてみてください。この地域にはさまざまなパブやジャズバーがありますが、ヴィンテージ装飾が施された小さなバーの中には、アルコールの代わりにコーヒーを提供する店も何軒かあります。こうした店はバーではなくカフェとしてみなされるため、入場料は必要なく、上質な生演奏を無料で楽しむことができます。


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特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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