• 2017.04.06
  • オランダの地方でゴッホに出会う
日本では、雪の時期が終わり梅が咲き始め春が近づいていますが、西オランダでは今年は雪が降っておらず肌寒い日々が続いています。雪なしのまま終わるのは残念な気もしますが、雪に非常に弱いオランダの電車に関しては遅延がなくなるので、良いこともあります。

そこで、電車旅行が好きな私は、自国のどこかを観光しようと思いました。

日本でも有名な19世紀のオランダ人の画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホに興味があるのですが、恥ずかしいことに本作家の傑作を含むゴッホ美術館を鑑賞したことがありませんでした。そこで、実際に彼の傑作を観ようとゴッホ美術館に行くことにしました。
アムステルダムの市内電車で「Museumplein(美術館プラザ)」で下車する際、まず、平日の朝でも入場券売り場のものすごく長い行列にびっくりさせられました。少し努力して行列に並んでから、素敵な建築のミュージアムで実際にゴッホの傑作を観ることができて、感動しました。ただ、こうした作品が見られなくなるほど大勢の鑑賞者がいる美術館より、ゴッホの絵画の雰囲気がより見近に感じられる場所があります。

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それは、ゴッホが絵画で描いた教会、並木や民家が実際に残っているニューネンというオランダ地方にある小さな町です。ゴッホの父親が牧師としての仕事のために両親と共にこの北ブラバント州にある農村に家族と移り住みました。ゴッホはここで2年間を過ごし、周りの自然や農民の生活にインスパイアされ多くの作品やスケッチを制作しました。こうした農村でゴッホがどのように暮らしたのか、彼の作品に写っている風景がまだニューネンに残っている、ということが追体験できるという話を聞き、ニューネンに旅立ちました。特に、ニューネンには、ゴッホの記念館「ヴィンセンター」という博物館があり、彼の2年間の滞在が写真、絵画、日記の断片や映像などがあり、大変興味深かったです。「ヴィンセンター」では、オーディオやビデオ上映、話しかける肖像画で、ヴィンセントとその家族、ニューネンで出会って描いた農村民や職工たちについての物語を聞くことができました。ニューネンにある風景がゴッホによる絵画にだんだん変わるインスタレーションも印象的で、再構築されているゴッホのアトリエで彼が使った色彩から、家具や道具まで見られました。ゴッホの物語について読んだり聞いたりして、彼は田舎町に暮らしている農民たちの素朴な生活に惹かれ、農民たちと彼らが暮らしていた田舎町の風景に深いつながりを感じるようになったということが分かりました。

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博物館を観終わってから、記念館ヴィンセンターでも「ゴッホが暮らしていた町を歩く」地図をもらうことができ、ニューネンを散歩しながら、自分の目で絵画の風景を見ることができ、さらに面白くなりました。自然に囲まれた古い建築物が沢山残っている魅力的な町だと思いました。そういう穏やかで小さな町を散策する時、突然見たことのある気がする風景を目にしました。驚いたことに、ゴッホの絵に描かれた両親の家、木に囲まれた教会、風車があるのどかな農園やゴッホがアトリエとして使っていた家は変わらずにそのまま残っていました。ニューネンで本物の作品が展示されていなくても、こうした風景をみたら、ゴッホがどのような環境で作品のインスピレーションを得たのか、というイメージができて、絵画の雰囲気を身近く感じることができました。この先ゴッホ美術館に立ち寄る時は、また違う目でゴッホがオランダで描いた少し暗めの絵画を見るようになると思います。

特派員

  • リサンネ・ クライナン
  • 年齢未(ひつじ)
  • 性別
  • 職業通訳、翻訳業

私はオランダの港町であるロッテルダムの郊外に住んでいます。日本語、日本文化や芸術の勉強のために2年間日本へ留学しました。そこで、国境や文化を越える様々な表現方法から生まれた人と人、人と場所の繋がりに感動しました。日本で経験したこと、感じたことを振り返り、新鮮な視点からオランダでの日常を見るようになりました。

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