• 2017.06.06
  • お砂糖でくるんだ伝統のひと粒、その名はコンフェッティ
「コンフェッティ」は、英語だとカーニバルやパレードなどで人々が撒くカラフルな紙片を指す言葉ですが、イタリアでは、イタリア国民文化になくてはならない存在の、砂糖衣でくるんだアーモンドのことになります。
私の地元であるリグーリア州は、一年中天候に恵まれているうえに海岸線の眺めも美しく、結婚式や屋外でのセレモニーの開催地として人気の土地なので、コンフェッティ作りに特化したコンフェクショナー(お菓子屋さん)がたくさんあります。
コンフェッティの数と色は何をお祝いするかによって異なり、そこには守るべき決まり事が存在します。

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コンフェッティの色は用途に応じて決まる

コンフェッティは幸運と繁栄を象徴する砂糖菓子で、その起源は非常に古く、なんとローマ時代にまで遡ります。当時は、高位の人々の婚礼や出産などの重要な儀式に登場する特別なお菓子でした。
コンフェッティの数と色の問題、やっぱり気になるところですよね。伝統的に、婚礼に用いるコンフェッティの色は、新婦の純潔を暗示する白とされています。イタリア式のウェディングの流儀では、その結婚式が末永く記憶に残るように、ゲストに対してボンボニエールと呼ばれる小さな贈り物をするのが一般的です。一口にボンボニエールと言っても実に千差万別で、手作りの小物から結婚式の様子を収めたDVDまで様々なものがありますが、いずれの場合も、お人形、縁起もののチャームや陶器などに、コンフェッティを詰めた小袋を添えて渡します。また、洗礼式に使われるコンフェッティの色は、男の子なら水色、女の子ならピンクと、新生児の性別によって決められています。

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女の赤ちゃんにはピンク、男の子なら水色のコンフェッティを

コンフェッティのフレーバーについては、昔ながらの砂糖衣をかけたアーモンドだけでなく、昨今では個性的でバラエティ豊かなバリエーションが売られているのを見かけるようになりました。
チョコレートに浸したアーモンドを砂糖衣で覆ったタイプ(子供たちが大好き)や、ストロベリー、レモン、ココナッツはおろかチリペッパー風味のコンフェッティまであるのです。それぞれの味ごとに決められた色とニュアンスで仕上げるので、売る側も買う側も、見た目の色でコンフェッティを区別します。私たちは、製菓職人の思いが込められた知覚的な体験として、甘い記憶を持ち帰ることになります。伝統的なコンフェッティの形状はオーバル型やボール型ですが、新郎新婦のイニシャルやお祝いの日付を彫り込むなど、最近では思い思いにカスタマイズする傾向も目立ってきました。

コンフェッティの個数の問題ですが、これについては加減できるような余地はありません。エチケットという名のルールに従い、差し上げるお菓子の数は次のように厳密に決められています。
洗礼式の贈り物に使われる3つのコンフェッティが夫婦とその子供を象徴するのに対し、結婚式では、長寿、健康、富、幸福そして多産を意味する5個のコンフェッティを贈ることで、末永く幸せな夫婦の一生を祈願します。
コンフェッティを配る個数は目的別に異なりますが、伝統的に、その数は必ず奇数でなければなりません。奇数は良い変化を呼び寄せるとされています。

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婚礼や初めての聖体拝領に登場する白いコンフェッティ

コンフェッティを着色するのは、単に見た目を良くするためだけでなく、各カラーにはそれぞれ明確な意味があるからです。コンフェッティが使われる重要な儀式と、それぞれの色の意味を以下に挙げていきましょう。

1年目の結婚記念日:ホットピンク
10年目の結婚記念日:黄
20年目の結婚記念日:ベージュ
25年目の結婚記念日:銀
初めての聖体拝領:白
大学卒業:赤
婚約:緑
婚礼:白
誕生日:マルチカラー
出産:女児はピンク、男児は水色
18歳の誕生日:深緑

年数によって異なる結婚記念日の色は、それぞれの年を象徴する物質の色とリンクしています。例えば結婚25周年は銀婚式と呼ばれ、夫婦は互いに銀製のものを贈り合い、それ以外の家族に対してはコンフェッティを贈るのです。

卒業を祝う赤いコンフェッティは、仕事での活躍を願う気持ちを表します。卒業はひとつの目覚ましい成果であり、いくつかある人生の門出の中で、卒業祝いは最も胸が高鳴る瞬間に数えられます。
ローマ人、とりわけ高貴な身分やローマ政府の最上層部の人々は、赤という色を頻繁に使っていました。赤はまた国王および皇帝の色でもありました。赤いコンフェッティが卒業記念に最適だとされる理由は、アカデミックな地位の獲得こそが誇りと美徳の源であるという世界観によるものです。

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卒業祝いには赤いコンフェッティを

婚約と18歳の誕生日には、希望を象徴するカラーである緑を用います。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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