• 2016.08.09
  • 白ワインの王国「モーゼル地方」
モーゼル川はフランスのヴォージュ山地に源流があり、ルクセンブルクの方から蛇行しながら流れてきて、支流であるザール川とルーヴァー川と、コブレンツの合流点ドイチェス・エック(Deutsches Eck、「ドイツの角(かど)」)でライン川と合流します。ライン川はその後、ケルンやデュッセルドルフへと北上し、更に流れのある大きな川となります。

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モーゼル地方は、ローマ人がぶどう栽培技術とワイン醸造技術をもたらしたといわれるドイツ最古のワイン生産地域です。栽培面積は約9000ヘクタールあり、ドイツで第5番目に大きなワイン生産地です。
急斜面のぶどう畑は川からの反射光により日照量を十分確保しつつ、川の蓄熱で霜を防ぎ、また十分な降水量もあるため、ドイツで最も温暖でぶどう栽培に適した地域の一つとされています。またかつては海底だった土壌は石灰やミネラルが豊富な砂岩や泥灰岩、火山由来の赤い岩石と様々で、ワインの味や品質に違いを産み出します。モーゼル川は全長243kmですが、直線距離は約140kmと、いかに蛇行しているかがわかります。

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モーゼルで生産されるワインの9割は白ワインで、中でも最も栽培されてRiesling(リースリング種)は有名です。他にもリヴァーナー(Rivaner)、ミュラー・トゥルガウ(Müller-Thurgau)、エルプリング(Elbling)など。


糖質によっての分類
1.カビネット(Kabinett)
最も糖度の低い葡萄から作られる。辛口-Trocken(トロッケン)

2.シュペトレーゼ (Spätlese「遅摘み」)
カビネットよりも一段、原料果汁の糖度が高い。

3.アウスレーゼ (Auslese)
シュペトレーゼよりも、さらに一段糖度が高い。

4.ベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese、BA)
稀に貴腐ワインとなる。甘口なものが多いが、流通量はそれほど多くはない。

5.トロッケンベーレンアウスレーゼ (Trockenbeerenauslese、TBA)
名称は「乾いた果粒を選り摘んだ」という意味であり、暗に「貴腐化」を指しているが、必ずしも貴腐ワインではない。

6.アイスヴァイン (Eiswein)
とても甘いデザートワイン。


特にザール川沿いで作られたザールワイン(主にリースリング)は、フルーティーな香りと、糖と酸味の絶妙なハーモニーが素晴らしく、気候に恵まれた年には世界の白ワインの女王に輝くことがあるそうです。

モーゼル川沿いに点在する古城を訪れ、可愛らしいペンションに滞在し、小さなワイン醸造所で生産数2000と言われるワインの中から自分好みのワインを見つけるのもモーゼル旅の醍醐味と言えるでしょう。
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特派員

  • 理夢
  • 職業いけばな活動家

ドイツ在住5年目。海外で「和の心」を忘れず、「いけばな」と「着物」を中心に日本文化活動を行う。日本の美を広めるべく、また次世代にも継承していけるよう精進して参ります。

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