• 2017.07.18
  • シュッツェンフェスト=射撃祭
ドイツでは6月から夏にかけて全国各地でSchüzenfestシュッツェンフェストという伝統的な射撃祭が開催されます。ドイツは歴史的に中央集権国家ではなく、各地方が諸候によって独立し統治していた地方分権だったため、中世の時代より自分たちの地域は自分達で守るという習わしからこの射撃祭が続いているそうです。
このお祭りはSchüzenverein(射撃協会)やSchützenbruderschaften(射撃兄弟団)により構成され、年に一度射撃コンテストがあります。射撃コンテストでは主に木製の鷲を標的にして射撃し、誰が一番上手かを競い合い名手を選びます。

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この射撃コンテストで勝ち抜いた一番の名手はSchützenkönigシュッツェンケーニッヒという射撃王に任命され、シュッツェンフェストの代表として射撃女王と一緒に一年間活躍することになります。まず Schüztenköningはキリスト教信者であるということ、そしてお祭りの時に自宅をお城のように装飾して開放し、参加者を全員招待するということが条件になります。ですから現実的にも経済的、人柄が余裕のある王様が選ばれるのが理想なようです。

まずは、Zugツークと呼ばれるパレード。
鼓笛隊が先頭となり町中の人にパレードが来たことを知らせながら、子供達、Dirndelなどの民族衣装をまとった女性と共に、緑、青、赤色などの格調あるコスチュームを着た男性群が行進します。手には、射撃協会の旗をかかげたり、巨大な花束をもったり、木製の銃をもったり…。
ドイツ人の男性は年を重ねれば重ねるほど貫禄があり、恰幅の良い人は本当にコスチュームが似合います。伯、公、将校などの役職もついているようで、皆さん本当に役になりきりながら威厳をもって行進します。

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パレードが終わると一行は射撃王のお城に招待されたり、大きなテントで射撃王と射撃女王中心にブラスバンドやミュージックバンドによる演奏でダンスパーティが開催されます。

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現世代のシュッツェンフェストは、どちらかというと本来の防衛というよりも打ち上げのビールを飲むのを楽しみにしているのかな??というのが本音のところです。しかし、このシュッツェンフェストは金曜日から火曜日まで5日間も続くので、毎日飲める体力がないとなかなかついていけません。

また子供達のためにKirmisキルミスという移動遊園地もやってきます。
メリーゴーランドやゴーカートなどのようなものからグルグル目が回るスリリングな乗り物、Bratwurst(焼きソーセージ)やReibekuchenライベクーヘン(ジャガイモのパンケーキ)などの屋台がでるので、家族で遊べる日本の縁日のような場所です。

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そして17世紀から続くハノーファーの射撃祭は、パレード参加数1万人、観客数150万人という世界最大級です。2017年の日程は6月30日〜7月9日でミュンヘンのオクトーバーフェストのように移動遊園地やミュージックパーティも楽しむことができます。

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このようにキリスト教が中心となったドイツ人同士の地域密着型の射撃祭は伝統を守るのみならず、地元のふれ合いを大切にしたドイツの文化と言えるでしょう。

特派員

  • 理夢
  • 職業いけばな活動家

ドイツ在住5年目。海外で「和の心」を忘れず、「いけばな」と「着物」を中心に日本文化活動を行う。日本の美を広めるべく、また次世代にも継承していけるよう精進して参ります。

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