• 2017.05.26
  • ホラー
幼少の頃、怪談話を大人にしつこくせがんだ挙げ句「キャー」とか「こわーい」とか「鳥肌がたったぁ」など叫んだりしませんでしたか?
イタリア人の子供達も「ねぇねぇ怖い話をしてぇ!」とおねだりしてきます。さらには、よくよく考えると納得は出来るのですが、なんと子供用のホラー話の本も大層な人気があります。眠る前にベッドでそんな本を読んでる子供を見ると、心配しつつ笑ってしまいます。ホラー映画となると、最近の映画技術の高さによる音響効果と視覚効果で恐ろしさがよりアップしているようで、クッションの下に隠れてしまうのは子供だけでなく、大人の私でさえも迫力に負けて思わずチャンネルを変えてしまいます。なのに時々、チャンネルを戻したりするのは、見たくないと思いつつも見たいという好奇心と刺激を求める人間が持つ矛盾な内面でしょうか。

怖さと言えば、 日中に通いなれている人通りの多い場所が、日が落ちると共に静けさに包まれ別の顔が現れ不気味な雰囲気を醸し出すのは、意外や意外のなんとミラノの中心部に網羅する細い路地なのです。同じように、学校や森の中、もしくは美術館などで突然にひと気の無さと静寂に気がついて、ゾクッと怖い孤独な思いを一瞬したことはありませんか?


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ミラノの中心地に一人で訪れるのは避けたい教会があります。その教会に入ってから、ひんやりとした通路を抜けると四方の壁が骸骨に埋め尽くされた礼拝堂に導かれ、2000個以上の骸骨にジッと見つめられて、まるで金縛りにあったようにしばらくの間身動きができなくなってしまいます。


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それこそ霊感の強い人などは、この教会に近寄ることでさえ出来ないと思います。伏線ですが、霊感の強い私の友人がミラノの、とある広場を通ることを何とは無しに避け続けていたそうですが、ムッソリーニが絞首刑にされた広場だったことを後日知り、妙に納得したそうです。

話は戻りますが、この聖ベルナルディーノ礼拝堂の骸骨だらけの壁を見て、キャーと悲鳴をあげて逃げ出した人には勿論遭ったことはありません。訪れる人は、無数の灰色の骸骨と美しい柔らかい色彩の天井画を眺めて、生と死について考えさせられるのです。


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この教会を出た後は、目の前に建つ聖ステファノ教会が目に入り、それから視線を移して行くとドゥオモの頂上が垣間見え、すぐそばにあるミラノ大学の生き生きした表情の大学生達が目の前を通り過ぎ、徐々に正気に戻されて行くような感じを覚えます。


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ミラノの街角のこの一角で、あなたは何を感じるのでしょう。

特派員

  • 三上 由里子
  • 年齢戌(いぬ)
  • 性別女性
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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