• 2020.06.24
  • テクノロジー(と新型コロナウイルス感染症)はイギリスの教育システムをどう変化させているか
新型コロナウイルスの時代、私たちの生活のあらゆる面に新たな解釈が生まれているような気がします。
働き方や移動手段、食べ物の買い方、人間関係の維持のしかたも変化しているようです。
私たちのあらゆる習慣や行動は、当たり前だった日々の何気ない言動や人と会ったときに自然に起こる身体の動きに疲れてしまい、その存在を残すためにはデジタル化の波を待たなければならないように見えます。
技術、社会、何より精神のしくみが新たに変わり、コミュニケーションのルールやニーズ、時間管理、そして優先順位のおき方までも改めて見直されています。
このような環境下で、特に注目を集め、おそらく他の分野を圧倒しているのが教育分野です。
そのため、イギリスの何百もの学校がこの新たなニーズに対応するための準備を進め、数千人の教師が研修を受け(ウェビナー経由が大半)、従来の学校という概念を全く違うものへと転換する取り組みをいやおうなく推進しています。
現在のテクノロジーは日常生活のさまざまな面に変化をもたらし、学習プロセスの加速や指導法のパフォーマンス最適化が可能な新しいツールができたおかげで、研修方法も変わりつつあります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック前は、誰もがクラスメートを自宅に呼んだり、図書館に集まって宿題をしたり、グループ学習を行ったりしていましたが、今日のデジタルネイティブの新世代はパソコンやモバイル機器を使って、よりスピーディーに情報にアクセスし学習を進めています。
最近の調査では、6~12歳の生徒の50%超が宿題をするために少なくとも週に1度はインターネットを利用していて、パンデミックが招いた新たな環境では、こうした生徒の大部分がバーチャル教室に参加することを好んでいます。
イギリスの全国紙に掲載されたこの記事によると、人々の予想とは裏腹に、便利なデジタルデータによって生徒は気を散らすことなく宿題に取り組んでいて、実際、モバイル機器を使って勉強する生徒は学校の教科書だけを使って勉強する生徒よりも1週間での勉強時間が長く、平均して教科書だけで勉強する生徒と同水準の成績を収めています。
最近の生徒はモバイル機器を利用して、調べものをしたり、教育用ゲームを練習・プレイしたり、他の生徒とコラボしたり、学校関連のアラートや連絡をチェックしたり、教師と連絡を取ったりなどしているようです。
私には小学校の教師をしている友達がいますが、教師の仕事は教育スキルだけでなくデジタル分野の実務スキルとも連動しているため、ますますデジタル化が進んできていて、教育のプロとみなされるためには現代の不可欠な要素になっているそうです。
インターネットと学校の関係は未来の教育に成功をもたらす鍵を握っているので、多くの学校(パンデミックの間にいっそう増加)がeラーニングによる指導プロジェクトを開始しています。
友達の同僚たち、より一般的にいえばイギリスの教師たちは、テクノロジーによって生徒の成績が向上し、また複数の指導法を直接試すことができることを認めています。
また多くの教師は、今後の人生で就職する際の鍵となる、協力やチームワークのスキルを生徒が育むうえでもテクノロジーは役立つと回答しているようです。
確かに、こうしたデータは教育分野にとって大きな成果で、テクノロジーが単なる遊びのツールではなく、向上するための重要な手段であり、今のような困難な時代の助けになっていることを示す優れた事例でもあります。
リモート学習への転換は、さらに高度な教育や長期的スパンでもメリットがあると見られています。例えばイギリスの大学に、より多くのオンラインコースの提供を奨励すれば、ようやくリモート学習ができるようになった学生や、外国からリモート学習しようとしたりする学生をいっそう惹きつけることができます。
新型コロナウイルスは、教材提供のデジタル化やオンライン化に向けた大学の取り組みを加速させる、必要かつ強制的なプロセスを生み出すことにつながりました。このプロセスや変化が完了するまでには時間がかかるでしょうが、最終的には導入され、標準的な方法として推進されるようになると思います。


教育のオンライン化に向けて

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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