• 2021.04.16
  • ロンドン緑化プロジェクト「カムデン・ハイライン」
ニューヨークを訪れたことのある人なら、おそらくニューヨーク・ハイラインにも足を運ばれたことでしょう。
実際に行って覚えている方ならおわかりいただけるかと思いますが、かつて高架鉄道だったところが空中都市公園のようになっているスポットです。
実はここロンドンでも同様のスポットが創られつつあります。その名も「カムデン・ハイライン」。
ロンドンの場合はカムデンからキングスクロスまでがその予定地とされています。
ニューヨークと同じく、今回も廃止された鉄道線路を利用することになっており、自然は文字通り自然のままに―そこかしこで緑が茂っていくことでしょう。
この遊歩道公園はあまり緑の多くないこのエリアに緑をもたらしてくれます。
ただ、ニューヨークのハイラインと違って、カムデンの場合は隣に現役の鉄道が走ることになっています。幸い、横の歩行者を吹き飛ばすほど高速の列車ではなく、速度の遅い列車が運行する予定ですから、ゆっくりと横を通り過ぎる列車が、遊歩道にさらに風情を添えてくれることでしょう。
建設予定地の住民は今回のプロジェクトを大歓迎しているようですから、数年以内に、おそらく2024年までにはお目見えが期待できそうですね。
また、地元評議会のカムデン評議会もハイラインがもたらす経済効果に注目しており、このスポットが観光地となってより多くの人々が訪れることを期待しています。
今回の新プロジェクト「カムデン・ハイライン」の工事は現在全力で進められています。ロンドンに住んでいなくて今回のプロジェクトをあまり知らない人々にとっても、ロンドンのパノラマ風景がいっそう満喫できるスポットとなるでしょう。空中公園(地上約8 m)内の鉄道高架橋が再開発され、端から端まで歩いて楽しめる遊歩道スペースがつくられる予定です。
現在、何千もの人々が携わり働いているこのプロジェクトは、完成した暁には近隣の地域全体に恩恵をもたらすことでしょう。

近隣に住まうたくさんの人々にとっては自宅近くにかなりの広さの緑地ができるわけですから、自然を楽しんだり、憩いの場にしたり、パノラマ風景が楽しめるカフェに入ってコーヒーを満喫したり、アートのパフォーマンスに参加したり、ロンドンの「空中」でグループ活動に関わったり、さまざまなかたちで新しい公園を楽しめますね。
この都市再開発プロジェクトは、プロジェクトを推進し資金を提供した何千という地元の住民と商人による努力と共同での働きかけから生まれました。
直接このプロジェクトに携わっている関係者たちが、近隣の諸地域どうしのつながりをより密にし、コミュニティ意識を高める機会としてハイラインを捉えているのも、偶然というわけではありません。
また、プロジェクトを担当する協議会であるカムデン・ハイライン・チャリティは、最も魅力的で興味をそそる高架橋の設計を提案したチームに賞金を贈るコンペを実施しました。

提案されたプロジェクトのなかから、サステナビリティ、アクセシビリティ、イノベーションのコンセプトを最も重視したチームが選出されました。
そして、この選出がまさにニューヨークとつながっていたのです。
奇しくもカムデン・ハイラインを担当するのは、カムデン住民のインスピレーションの大きな源となったニューヨークの元祖ハイラインを設計した、あの設計事務所だったのです。
いかなる場合においても,こうしたプロジェクトの勝者は地元の当局や協議会と連携してその希望や要望を尊重するのが通例となっており、この設計事務所はニューヨークとカムデンのハイラインには共通点がほとんどなく、ロンドンにはまったく新しいハイラインを建設する予定であることを明らかにしました。
ハイラインのカムデンタウン側の入口は地下鉄カムデンタウン駅とカムデンマーケットのどちらからも徒歩数分の場所にあり、高架公園自体は道路に囲まれてはいるものの新しい交差点が設置される予定なので、公共交通機関を使ってかなり楽にアクセスできます。
さて、入口まで来たら遊歩道へ。ルートはカムデンロードに向かって進みますが、最寄りのカムデンロード駅のプラットフォーム(現在使用されていない)も含むので、この辺りが最も広いエリアとなります。
つまり、ハイラインと駅のプラットフォームが一体となると考えられるこのスペースが、コミュニティ活動に最適な場所になるでしょう。
ハイラインのデザインや内容を実際に目にできるのは、この美しい都市公園の第一セクションが開通する2024年までお預けのようです。
きっと、とても素敵な、またとない娯楽と憩いの場所になることでしょう。
遊歩道にはおそらく自転車トレイルも敷設され、近隣の運河とも連結するようです。



カムデンと近辺を流れる運河

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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