• 2022.04.21
  • 地元の農産品が並ぶトロントのファーマーズ・マーケット

実は、仕事の都合でもうすぐアメリカに引っ越すことになりました。そこで、仕事や天気、引っ越しの状況が許す限り、カナダで過ごす残りの数週間はオタワやオンタリオ周辺にある、今まで時間がなくて訪れることができなかった場所に行ってみることにしました。
先週末はトロントに戻り、セント・ローレンス・マーケットで1日過ごしました。
魅力あふれるこのマーケットに足を運ぶと、トロントの食文化はもちろんのこと、この街の歴史的価値にも触れることができます。
ここでは元来、「マーケット・スクエア」と呼ばれる市場が開かれていて、長きにわたり街の社交の中心地でした。食品などの商品が販売されていただけでなく、公開処刑が行われ、奴隷制度が認められていた時代には黒人奴隷の競売も開催されていたということです。

セント・ローレンス・マーケットに屋根付きの建物が初めて建造されたのは19世紀のことでした。現在はサウス・マーケット、ノース・マーケット、セント・ローレンス・ホールの3つの建物から成る、非常に現代的な市場になっています。
ノース・マーケットといえば、歴史あるファーマーズ・マーケットが有名です。なんと、このマーケットは19世紀からずっと毎週土曜日に開催されています。
ファーマーズ・マーケットはカナダやアメリカでは非常に人気があります。非営利団体が運営しているものと公営のものとがあり、生産者農家が消費者に直接農産物を販売しています。州の職員が管理している公営のマーケットでは、農家は農産物卸売業者として参加することも可能です。
トロントなどの大都市のファーマーズ・マーケットでは、定番の農産物だけでなく、手工芸品などの手作りの商品も販売されています。
出店に際して、生産者農家は一定の要件を満たす必要があります。例えば、消費者に地元産製品の提供を保証し、地元企業を支援するため、マーケットの開催地と同じ郡内の生産者しか出店することができません。
ほかにも、販売する商品の70%以上はその生産者や販売者が作ったもの、または彼らの監修のもとに作られたものであることが必要です。生産者自身が販売者となって消費者に直接販売することもできますし、家族や従業員に販売を任せても問題ありません。
販売者としてマーケットに参加するには、農産物生産者は申込用紙への記入と直接販売費の支払いのほか、所管施設での一般的な健康診断の受診が求められます。
セント・ローレンス・マーケットで毎週土曜日に開かれているファーマーズ・マーケットにはオンタリオ南部の生産者たちが集い、季節の農産物を販売しています。日曜には蚤の市が立ち、アンティークやモダンな家具からジュエリー、磁器製品まで、つい集めたくなるような素敵な品々を見つけることができますよ。
セント・ローレンス・マーケットはカナダで最高のグルメマーケットのひとつと言われていて、マーケット内のキッチンでは料理教室も開催されています。
地元の農産物を専門に扱うノース・マーケットとは大きく異なり、サウス・マーケットでは様々な輸入食材が販売されていて、各種ペイストリー、フランス産チーズ、イタリア産のハム・ソーセージ類など、世界中の美味しいものが勢ぞろいしています。
店の人たちはとってもフレンドリーで、通路を歩いていると試食させてもらえることも珍しくありません。私はほっぺが落ちるほど美味しい、焼きたてのバゲットを味見させてもらいました。テーブルも用意されていて、あちこちで新しい食材を試食することができますよ。
地元の人曰く、「このマーケットに来たら、カナダでは外せないメープル・ベーコンのサンドイッチ・コンボは絶対に食べるべき」とのこと。このサンドイッチは賞を取ったこともあるのだそうです。
サウス・マーケットは魅力的なアートギャラリーがあることでも知られていて、カナダ国内外からたくさんのアーティストが訪れます。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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