• 2015.04.24
  • 復活祭の贈り物 ~ イースターエッグ
春分の日を広辞苑で調べてみると、「二十四節気の一、太陽暦では3月21日頃。春の彼岸の中日にあたり、昼夜の長さがほぼ等しい」とあります。イタリアでは、この時期、キリスト教で一番重要な祭日“復活祭”を迎えます。

バチカン市国を国内に抱えるイタリアは、伝統的にカトリック教徒が国民の大半を占めるため、“復活祭”前後の時期は特別な空気に包まれます。雰囲気としては、日本のお正月のような厳かで華やかな祝日のようです。お正月が「旧年と新年の境」であるのに対し、“復活祭”はあがない主キリストの十字架上の死と3日後の復活、つまり「死と再生」という意味を持ちます。当日は、教会に行った後に親戚や家族で盛大な食事を共にして、絆を分かち合う大切な一日です。

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キリスト教以前からも、この“復活祭”は、春の到来を告げ、日増しに長くなる昼、太陽を祝うお祭りとしてヨーロッパ各国で行われ、生命の復活を表す卵や子沢山で豊穣を意味するウサギなどがそのシンボルとして普及したようです。

街の中に眼を向けてみると、製菓店や雑貨店をはじめとして、そのショーウインドウは楽しくなるような飾り付けで一杯。ピンク、オレンジ、黄緑、金や花柄などカラフルでかつ、リボンや花、お人形を使用した様々なデコレーションにより、まさに春一色です。

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その主役をつとめるのは、日本や米国では「イースターエッグ」「イースターバニー」の名で知られている復活祭の卵やウサギ達です。これら可愛らしいシンボルは、宗教を抜きにしても民間の習慣に浸透しており、世代を超えて愛され続けています。実際に、様々な飾り付けやイラストを見ているだけで幸せな気持ちになってきます。

街中に多くあるシックなお菓子屋さんやカフェのショーウインドウも競って美しい飾り付けを施します。お菓子屋さんだけあって美しいだけでなく美味しい事もとっても大切。

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卵やウサギの形をした包装の中身はチョコレート!!その中は空洞になっていて、お楽しみのプレゼントが隠されているしくみです。このチョコは、お菓子屋さんだけでなく大小のスーパーも特設コーナーを設けるほどの人気ぶり。子供たちは、祭日の何日も前からこのチョコを買ってもらい、中に何が入っているかを想像しながら、開ける瞬間を楽しみに待ちます。

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初めての復活祭、私の思い出の一つは、クラスメートから小ぶりの卵型チョコをプレゼントされたことでした。「イタリアでは復活祭の前に大切な人同士で卵を交換するのよ。」と手渡された小さな卵に彼女の留学生を思いやる気持ちを見て感動したものでした。

欧米特有の贈り物の習慣をイタリアに来てから幾つか知りました。この甘い卵の中には、春の日差しを待つようなフワフワとした期待感がたくさん詰まっているようでした。

特派員

  • 木田 美秀
  • 職業西洋絵画修復家

京都精華大学日本画科卒業。2008年よりルネサンスの都フィレンツェにて起業、イタリア古典絵画修復を専門として活動し、現在に至ります。休日の癒しは、市場での美味しい食材探し、近隣の町めぐり、所属の聖歌隊で歌うことです。

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