• 2020.04.14
  • 外出禁止
コロナウィルスの影響を真っ当に受けている国、影響がじわりじわりと寄って来ている国、まだあまり影響を受けていない国、度合いが色々違うにしろコロナウィルスの動向に世界中が目を離すことが出来ない前代未聞の事態となりました。




数週間前までウィルスの被害が中国に次ぐ2番目のイタリア。そのイタリアの中でも一番被害が大きいロンバルディア州に私はいます。外出禁止令が出て、家に籠ってから3週間以上が経ちました。

ヨーロッパの中でなぜイタリアでのウィルス拡散の始まりが起きたのかは、2月中旬当初は議論がなされていましたが、もう突き止めようもなければ、感染元探しも意味をなさない事態となってしまいました。

なぜなら、皆さんも既にご存知の通り、このウィルスは感染しても症状が出ない人もいるので、感染の自覚無しに周囲に拡散して行く特徴から感染元を突き止めることが不可能なのでした。

2000年代始めに、イタリアを怯えさせた狂牛病。当時は牛肉を食べない事でウィルスを避ける手段が市民にはありましたが、 今回のコロナウィルスは、最初の感染者がイタリアで発見されて2ヶ月近くになるにも関わらず、肉の摂取を避けるかのように呼吸をしないわけにはいかず、手の打ちようのないまま多数の市民の命が奪われていきました。

今回、外出禁止に至る前には初期の対策として大学を含め小中学校などの休校がなされましたが、その時期、市民にはまだ事態の深刻さが伝わっていなかった上に、イタリア独特の陽気な国民性も加わって「降って湧いたバカンス」という好都合的解釈が勝ってしまい、私の知人にも多くいましたが家族揃って山や海の別荘地に出かけてしまう有様でした。私のそれらの知人達は、感染気配もなく地域別隔離措置にも巻き込まれずにミラノの自宅に戻ってきた人が殆どですが、外出禁止令発足の前に帰ってこられなかった人は、別荘地に停留したままです。

そのあと、ロンバルディア州への出入りの禁止措置を政府は決めましたが、ロンバルディア州から逃げ出す人々で駅構内は混乱。この措置は更に感染を拡散させたらしく、まずかったかな、と政府は思い、即、イタリア全土渡航禁止、そして、外出禁止令を出しました。

連日、特派員が「見てください!今日は人っこ一人いません!普段は人で賑わっている場所なのに!」と報道をしているのを聞くと、無人状態が変かのように聞こえるので、私だったら「見てください!ミラノ市民が団結している素晴らしい結果です!ミラネーゼは、ウィルス拡散防止対策として素晴らしい一歩を市民一丸となって歩み始めました」と報道したいなぁ、と思いながら聞いています。

心配してくれたイタリア国外の友人達からの質問で多いのが、外出禁止令で家にこもってどのように過ごしているの?と。

時間とは不思議なものです。

自由時間がいっぱいできるぅ、ホビーの時間を確保できるぅとワクワクしていたのに、時間はいつも足りないのです。

時間め!私から逃げているのかな?


特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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