• 2021.09.24
  • 表現
イタリア人との会話を弾ませたいな、と思ったらトピックスのナンバーワンは食べ物。食生活が豊かな日本とよく似ているので、食に関する関心度がとても高いのです。そんなイタリア人達の会話を聞いていると、食の話題をしているわけでも無いのに食べ物に関する単語があちらこちらに散りばめられている事に気がつきます。

一番多く聞くのが「お芋ちゃん!」


愛おしい人を呼ぶときに「おい、芋!」と来るわけで、日本人には侮辱的に聞こえるでしょうが、イタリアでは愛情表現のナンバーワン。ところが「芋」だけではすまされず、「贅肉」も愛情をいっぱい込めた呼び名。「芋」と呼ばれてカツンともせずに、さらには「贅肉くん」と呼ばれて嬉しそうにしているイタリア人、面白い国民です。

「ニョッキのように美しい」と女性の美を讃えるのを聞いたときは、あの団子状のパスタの一種を思い描いて訳がわからない表情をしていると、ニョッキはモチモチした感じで丸っこくて美味しいでしょ、だから褒め言葉なのよと説明を受けました。が私にはジャガイモと小麦粉をこねくり回して丸めたニョッキからは「イイ女」のイメージは連想できずにいるのでした。


「彼女はムール貝だね」とは、どういう意味なのでしょう。岩のように硬い基盤にしがみついているかのような貝だから、しつこい女のことかな?ヒゲみたいな糸状なものが出ているから、毛深い女?それとも貝類の貝でも輪郭が長く非対称な独特な形だから、プロポーションの悪い女のこと?どうやら女性のルックスをコメントする時に、ブスだねとは言わずにムール貝だね、と使うらしい。あら、やだ。


彼はパンのように良い人柄、、、とイタリア人はよく言う。 これは、なんとなく共感できる。ある時イタリア人が「あいつはパセリだからなぁ」とぼやいた時は、暫くかんがえました。緑色のちょっと苦味があってみじん切りにしてお料理に加えると風味が引き締まるあのパセリ、、、顔色が悪いことを意味しているとは思えないけれど、苦味があるにしても少々だから苦いにしてはピントがずれているし、みじん切りで手間暇がかかってまな板が緑色に染まってしまうから、何かとお世話が必要な厄介者のことかしら?いえいえ、パセリは繁殖が強くどこにでも生えて来るので、あちらこちらに首を突っ込むうざったい人物のことを指しているとか。なるほどね。


「彼はイチジク!」と女性がハイテンションで言う時は、どんな意味だと思います?
アダムとイブがイチジクの葉で身体を隠すことが関係しているのかしら?果実の表面が傷つきやすいから、ナイーブな男性のことかしら?ブツブツした果実の食感から、不満をブツブツ言い続ける人のこと?いえいえ、ハンサムな男性のことをイチジクと呼ぶのです。

あなたの近くには、イチジクくんはいるのかしら?それともニョッキさん?

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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