• 2023.07.12
  • 肝試し
日本では夏になると怪談話や肝試しが取り上げられますが、どうして夏にするのでしょう? 

暑さも忘れるほどのゾッとする怖い話が涼しく過ごすコツの一つだったりするのでしょうか。お盆という季節柄で、先祖を供養する習慣から夏に霊が多く出没すると信じられて風物詩の一つになったとも言われていますが。

西洋ではハロウィーンの10月31日が日本でいうお盆にあたりますが、持っている意味合いは違うようです。諸聖人を祝う11月1日のそれの前夜祭として10月31日に悪霊を追い払うのだとか。仮装をする習慣は、悪霊とか魔女と同じ格好をすることによって仲間のフリをして身を守るためだとか。

ミラノでもハロウィーンパーティーやそのイベントは、割と盛んです。それでも暑いミラノの夏に、怪談話で盛り上がる、というのはやはり聞いたことがないのですが、ミラノにある日本の魅力を伝える複合施設TENOHAでは幽霊がテーマのイベントがついこの間まで開催されていました。日本の昔から伝わる幽霊話やオバケを紹介して、ついでにリアルな体験までしてもらえるようにと会場には色々なセッティングが組み立てられました。その中でも1番の売りは、20代の新鋭フランス人画家ラコンブの作品で、彼独特の画法スタイルを存分に生かして、妖怪や幽霊話には欠かせない魔性な女性達を神秘的に描き出していました。今年の5、6月は例年の比べると涼しい日が続くどころか、豪雨も頻繁にあり、このイベントでゾクっと怯えてもらって暑さを乗り切ってもらう、という訳でもなさそうでした。

ところで日本の怪談話やお化け屋敷セッティングなど無しに、イタリアには怖気付くような場所が幾つか存在するのです。

すぐそばの島で私は夏のバカンスを楽しんでいたにもかかわらず、そんな恐ろしい島が目の前にあったことを後から知ったというのが、ベネツィアのすぐそばのPovegliaと呼ばれる島。ヴェネツィアの住民が海水浴をしにいくのが、目の前にあるLidoと呼ばれる細長い島。作家トーマスマンが書いたヴェニスに死すという作品の舞台となった海水浴場の島。その周りに、幾つかの小さい島々が点在するのですが、そのうちの一つがPoveglia。世界で1番幽霊が多く出る場所だとか。当時コレラに罹った人々を隔離する対策をとってこの島に連れてきた後、治療もそこそこに放っておいてしまったとか聞きました。幽霊が出てしまうのも頷ける経緯です、、、

ミラノからそう遠くない所にも恐ろしい場所が、、、こちらには姨捨山のような話は無いものの、不気味な雰囲気が十分に出ていると思うのは、元々、ラスベガスみたいな行楽だけで成り立った町だったことが起因していると思います。ピノッキオの話に出てくるような夢のような玩具の町だったらしいのですが、出来上がって数年も経たないうちに、大規模な土砂災害に呑まれてしまい、修復不可能な被害の大きさのせいで、放置されたのでした。

そんな訳で安易に1人で訪れたりした日には、動くはずの無い物が動いたりしそうな場所です。近年は、イメチェンを図る目論見なのか、かくれんぼ大会が行われていると聞いていますが、隠れた人が出てこなくなったりしたら怖いじゃりませんか、もっと違うタイプの遊戯にして欲しい、、、、

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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