01社会福祉協議会と学生とが連携してプロジェクトがスタート
- ――プロジェクトが生まれた背景を教えてください。
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本研究室では、実際に目の前に存在しないモノやコトを工学的な技術によって現実であるかのように知覚させるVR(バーチャルリアリティ)を研究しています。2018年10月に、三田市の社会福祉協議会から、社会福祉大会の1コーナーとしてVRを用いた体験ができないかという依頼がありました。
社協の方と本学大学院の学生と一緒に話し合うなかで生まれたアイデアが、認知症を体験できるVRです。認知症患者が「自分がやったことを忘れてしまう」という記憶を失う状況をVRで再現できるのではないかと考えました。
- ――どのような仕組みですか?
- 体験者にヘットマウントディスプレイを装着してもらい、コントローラーを用いてVR空間内で「インスタントコーヒーを淹れる」という簡単なタスクを行ってもらいます。目の前に台所があり、コップにコーヒーを入れてお湯を注ぐという動作を行うのですが、コップから目を離した隙に位置が変わったり、入れていないはずのコーヒーがもう入っていたりと、システムが周囲の環境を操作します。それによって、体験者は「置いた場所を忘れる」「やったことを忘れる」という、認知症患者と同じ状況に陥ります。