SpringX 超学校 シンギュラリティサロン@SpringX
「意識の考え方」を考える──北大CHAINの挑戦
- 開催日
- 2021年10月30日(土)
- 開催時間
- 13:30〜15:30
- 開催形式
- YouTube Liveによるオンライン開催
- 参加費
- 無料
- 申し込み
- 不要
シンギュラリティ(技術的特異点)とは、人類がついてゆけないほどのスピードで科学技術が猛烈な発展をはじめるときのことを言います。その結果として人間を超越する「超知能」が生まれたとき、人類の歴史はどこへ向かっていくのでしょうか。
「意識」というテーマは長く哲学のなかで論じられてきましたが、1990年代頃からは科学的なアプローチが盛んになり、21世紀に至って百家争鳴の状況が続いています。そのなかで、「意識」の問題そのものの難しさが浮き彫りになり、アプローチの方法自体をあらためて問い直さなければならないという現状があります。
本講義では、「意識」という問題をまず解きほぐした上で、現状見られる様々なアプローチから、どのような展望が描けるのかについて議論します。講演者2名が所属する北海道大学人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN)では、多様な学問と多様なアプローチが組み合わさり、互いに切磋琢磨しながら、刺激的な議論が行われており、その成果の一部も紹介します。
第1部:内部と外部の捻れたループ──意識のイメージを変える 田口 茂氏
最初に「意識」という当たり前すぎて通常は気づかれないものが、どのように明示的に概念化されるのかを考えます。次に、意識を「閉じた内面」と考える強固なイメージを相対化します。意識はカプセルか箱のようなものではなく、「自分を包むもの=外を自分の内に含む」という構造をもちます。F. ヴァレラらはこれを「主体と環境の根源的循環性」と呼びました。「意識」について気づき、それについて語れるようになるというのは、こうした循環構造や捻れたループ構造そのものを見ることができるようになる、ということなのではないでしょうか? ここではこのようなアイデアを追究してみます。
第2部:「意識を教える」からエナクティブ・アプローチへ 吉田 正俊氏
今年度、北海道大学の大学院全学共通の講義として「意識の科学入門」を開講しました。そこでは意識の研究を「知覚としての意識」「自己としての意識」「生命・情動としての意識」というアプローチに分けて整理したうえで、それぞれの重要な知見を紹介しながら、受講生に意識研究のこれからあるべき姿を模索してもらうことを目指しました。この北海道大学で開講した講義の概要を紹介し、意識の様々な側面がエナクティブ・アプローチによってつなぎ合わせられること、そしてそれを記述するためにフリストンの自由エネルギー原理が有望であることについて議論します。
第3部:座談会 田口茂氏・吉田 正俊氏+松田 卓也 氏・塚本 昌彦 氏・小林 秀章 氏/ 質疑応答
田口 茂 氏
北海道大学大学院文学研究院教授、人間知・脳・AI研究教育センター長
2003年ドイツ・ヴッパータール大学で博士号(Dr. phil.)取得。山形大学准教授等を経て現職。専門は哲学、特に現象学。近年は数学者・神経科学者・認知科学者・ロボット研究者などとの共同研究により、意識・自己・自他関係などのテーマに取り組んでいる。著書に『現象学という思考』(筑摩書房)、『〈現実〉とは何か』(数学者・西郷甲矢人氏との共著、筑摩書房)などがある。
吉田 正俊 氏
北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター 特任准教授
2003年に博士(医学)を取得。生理学研究所助教を経て2020年より現職。専門はシステム神経生理学。霊長類における眼球運動を対象として注意や視覚的気づきの脳内メカニズムの解明を行ってきた。生理研在籍時から意識研究のシンポジウムを開催するなどの活動を行ってきたが、CHAINに異動してからは、現象学者や神経計算論の研究者と共同研究を行いながら意識を科学的に研究する方策を模索している。
松田 卓也 氏
神戸大学 名誉教授
理学博士(天体核物理学)。シンギュラリティサロン主宰。研究のかたわら、ニセ科学批判にも力をそそいできた。近年は京都某所の「秘密研究所」にて人工知能の研究を進めながら、迫りくるAI社会とシンギュラリティの啓蒙活動に取り組んでいる。
塚本 昌彦 氏
神戸大学大学院工学研究科 教授
工学博士。シンギュラリティサロン副主宰。ヒューマンインタフェースの研究を進める一方、「ウェアラブルの伝道師」として、全国各地のイベント・メディアで、ウェアラブルデバイスの普及活動を精力的に続けている。
小林 秀章 氏
「セーラー服おじさん」
シンギュラリティサロン常連聴講者。某印刷会社で知性派エンジニアとして活躍する一方、「セーラー服おじさん」として国内外に出没、日本のオタクカルチャーのアイコンとなっている。人間の「意識」の謎に取りつかれている。
保田 充彦
ナレッジキャピタル・リサーチャー、株式会社XOOMS代表
開催概要
開催日程 | 2021年10月30日(土) |
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開催時間 | 13:30〜15:30 |
会場 | YouTube Liveによるオンライン開催 |
参加費 | 無料 |
申し込み | 不要 |
タイトル | シンギュラリティサロン@SpringX 「意識の考え方」を考える──北大CHAINの挑戦 |
登壇者 |
田口 茂 氏(北海道大学大学院文学研究院教授、人間知・脳・AI研究教育センター長) 吉田 正俊 氏(北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター 特任准教授) 松田 卓也 氏(神戸大学 名誉教授) 塚本 昌彦 氏(神戸大学大学院工学研究科 教授) 小林 秀章 氏(「セーラー服おじさん」) 保田 充彦 氏(ナレッジキャピタル・リサーチャー/株式会社XOOMS代表) ※司会 |
主催 |
シンギュラリティサロン 株式会社ブロードバンドタワー 一般社団法人ナレッジキャピタル |
注意事項 | ・進行状況により予定の時間が変更する場合がございます。予めご了承ください。 |
お問い合わせ |
シンギュラリティサロン事務局 admin@singularity.jp |