つまり、自然について。
オーストラリアはカンガルーとおっとりしたコアラの国ですが、それだけではありません。この巨大な島には、地球上でも類のないびっくりするようなユニークな動植物が生息しているのです。
オーストラリア固有の動物相は、世界でももっとも豊かでもっとも多彩で、これまでずっとこの国の最大の魅力のひとつになってきました。実際、この大陸は何百種もの哺乳類、鳥類、魚類と爬虫類の生息地であり、固有種のマリン・クロコダイル2種と海獣50種も生息しています。これらの生き物の大半は固有種で、世界のどこを探しても他の地域では見ることができません。
運がよければ————あるいはここに長く住んでいれば————そういった動物を自然の生息地で見ることができるかもしれません。でも、たとえ運が味方をしてくれなかったり、短期間しか滞在できなかったりする場合も、心配無用。この国固有の動植物を守るために、とてつもなく広大な地域に亘る自然公園がいくつもあるからです。そこへ行けば、いろいろな生き物に出会うチャンスがあります。かわいくて愛くるしいものから、すごくおっかないものまで。 オーストラリアの代表的な有袋動物から…
コアラ
カンガルーと並んで、コアラはオーストラリアの中でも別格の有袋動物です。でもカンガルーと違って、コアラは木に登れるんです! コアラはユーカリの巨木の上でうとうとするのをこよなく愛し、ユーカリの芽と葉を貪り食います(1日に約1/2キロ)。やっと地面に降りたと思ったら、あっという間に別の木へ!
ウォンバット
モルモットに似たかわいい有袋動物で、愛嬌あふれる鼻の持ち主ですが、体重は30キロにもなり、なんと時速40キロものスピードを出せるのです! でも、ご注意を。この動物は夜にしか姿を見せません。日中は穴の中に隠れているのです。
クアッカワラビー
にこにこしているように見える顔のおかげで、クアッカワラビーは地球上で一番幸せな動物に選ばれました! この小さな有袋動物はとても人なつこいのですが、希少種なので、手荒く扱うと高額の罰金を科されます。実際の自然環境では、西オーストラリア州南西部の限られた地域にだけ生息しています。
カンガルー
言い伝えでは、カンガルーという名前は海軍士官クックと博物学者サー・バンクスの探検調査行に由来します。この動物に出くわしたとき、二人は地元の住民に、あれはなんという名の動物かと尋ねたところ、「カンガルー」という答えが返ってきました。実は「わからない」という意味だったのですが、結局それが英語名になってしまったようです。オーストラリア固有の動物として、カンガルーは国のシンボルにもなり、国章にも描かれています。
タスマニアデビル
ルーニー・テューンズの獰猛ですばしこいタズマニアン・デビルを憶えていますか? この有名なタスマニアデビルは、実際はどちらかというと恥ずかしがり屋で、タスマニア島だけに生息する肉食の有袋動物なのですが、怒らせるのは禁物です。とても鋭い歯を42本持っている上に、体重は12キロに達し、体長は70センチになるものも! 風変わりな名前がついたのは、この動物が特に夜間に発する鳴き声のせいで、はじめてそれを聞いた探検家たちには悪魔の叫びのように聞こえたのでしょう。残念ながら、この動物は今絶滅の危機に瀕しています。恐ろしい顔面腫瘍が、タスマニア島のこの動物の数を激減させてしまったのです。
…地球上最恐の動物まで!
タイガースネーク
この蛇の特徴は色のついた帯状の縞があることで、そこからタイガースネークと呼ばれています。世界でもっとも危険な猛毒を持つ蛇です。オーストラリア南部一帯で、シダ類を分けてはっている姿を見ることができます。
普通は体長1メートルほどですが、オスの個体は体長1メートル半になるものも! この蛇の毒に対する解毒剤も用意されていますが、その毒による致死率はとても高く、オーストラリア人はこの蛇に裏庭で出くわしたりしないかと恐れています。
イリエワニ
地球上で最大の爬虫類の中でも、このワニは成長すると体長5メートルにもなるのです! 水牛などの大型動物を捕食しますが、水中でも陸上でも巧みに擬装して、人を襲うこともあります。イリエワニの襲撃方法はデスロールとして知られていて、獲物を捕らえて素早く回転させるのです。海水域に生息していて、だからこそオーストラリアの海岸にはあらゆる種類の攻撃に対する備えがあり、このワニが出現する地域には警告が掲示されています。
ハコクラゲ
世界の中でも人間にとってもっとも危険で致死力のある生き物のひとつです。グレートバリアリーフ沿いのクイーンズランド州の熱帯の海に広く生息しています。この生き物から水域を守るための特殊なネットが張ってある場所もありますが、常に気をつけて、ダイビングをする前には状況を確認するに越したことはありません。触手は3メートルにも及び、恐ろしく強烈な毒を持つハコクラゲは、わずか3分以内に人を殺す能力があります。
そして、他にこんな風変わりな動物も。
ジュゴン
マナティの兄弟でゾウの従兄弟、何世紀にもわたって、この見応えたっぷりの動物は、人魚をめぐる古代からの海の物語のインスピレーションを掻き立ててきました。
この巨大な草食哺乳動物は、海草を食べて日々を過ごしています。
その姿形から、いくつもの伝説が生まれました。そのうちのいくつかによると、ジュゴンは幸運の運び手で、その涙は媚薬の主要成分になるといわれています。
エミュー
ダチョウに次いで世界で2番目に大きな鳥です。オーストラリア固有のこの生き物は体高2メートル近くに及び、体重は50キロ、走るときの最高時速は50キロ!
エキドナ
オーストラリアに広く生息するエキドナはハリモグラとも呼ばれ、体長は最大50センチほどになります。体がトゲで覆われていて、脅威にさらされたときにはそのトゲで身を守ります。カモノハシとともに、卵を生む哺乳類2種のうちのひとつです。
フォトギャラリー
コアラとカモノハシ
カンガルーとタスマニアデビル
ウォンバット