よく似たスポーツのサーフィン、スノーボード、そり滑りなどと違う点は、それを実際にやる場所が、水や雪の上ではなく砂丘だということです。サンドボードをするのに理想的なのは、ざっくり言うと砂漠地域、あとはジャンプ台となるような高さの砂丘がある場所。最近、広大な砂浜のある沿岸地域ではオフロード車で牽引したり、専用の羽根で起こした風を利用したりして、サンドボードが行われています。
しかるべき規制機関の保存記録をひもとくと、古代エジプト文明をはじめとするいくつかの文化で陶器や木製の道具で砂丘を滑る人々について記されていますし、さらに最近では第2次世界大戦中のモノクロ写真によって、このスポーツが長い間オーストラリアで行われていたことが証明されています。
オーストラリアでは1960年代にサーファーやスケートボーダーたちの間で人気が高まったサンドボード。その結果、サーフボードやスケートボードとしても使えるよう、独特の形状の木を使ったボードが生まれました。70年代の半ばになると、サンドボードは公開イベントやコマーシャル、テレビのスポーツ番組などに登場しています。その割に大ヒットには至りませんでした。しかし、その後、多くの人を受け入れ、雪やサーフィンの波にも対応できる施設は、一般大衆にとってはるかに利用しやすいものとなりました。スノーボードがこの競争の勝者となりましたが、砂丘への情熱は長年にわたりファンを増やし続けました。
特殊な補助装置に両足をはめてボードの上に立ち、砂丘から砂の上を滑り降りるサーフボードでは、滑走時に超高速体験が味わえます。初心者の場合、通常は足に使う補助装置に腕をはめるプローン(うつ伏せ)のポジションがおすすめ。立ち上がったら、それぞれの体勢に応じたバランス運動で全身のバランスをとります。その後はインストラクターの指導のもと、ボードを使って簡単なターンやトリックの全身バランスの崩し方から自力で滑れる高度なスキルの習得まで、基本のテクニックをすべて覚えていくのです。
実際の体験をもとに、正真正銘の初心者として言わせてもらうなら、初めての人はボードに座るか腹ばいの姿勢でトライするほうがずっと簡単なうえ、何倍も楽しめるでしょう。(そうすると転んで砂が口に入る心配もありません。)
サンドボード用のボードは、スノーボードより数段丈夫な素材でできています。
ボードの素材の多くはプラスチック複合材や木で、中には金属製もあります。滑り降りる坂の降下度、砂の種類、砂丘の構造などによって選ぶ素材のタイプも変わります。ボードと砂の摩擦を最小限に抑えて滑降のスピードを上げられるよう、ボードの底部にパラフィンワックスを塗布し、滑る前には毎回キューブ状の特殊なパラフィンワックスを丹念に刷り込む必要があります。
以前読んだ記事によると、ドイツ(ヨーロッパ最長の砂丘がある)で毎年サンドボード世界大会が開催されているようですが、誰でも簡単に、そして手軽にサンドボードができるのは、ここオーストラリアなのです。
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