州を超えての移動も自由にできるようになった今、私としてはぜひともクイーンズランド州に向かい、最終目的地のゴールド・コーストに住む友人との再会を果たしがてら、自転車でヌーサやマウントタンボリンにも寄ったりしたかったのですが、今回はシドニーの自宅からより近くにある王立国立公園を目指すことにしました。
ここは世界最古の公園のひとつとされていますが、その理由が1879年に開業したからなのか、年代も定かではないほど古いアボリジニ族の壁画があるからなのか、私にはわかりません。
シドニーの都心から車を飛ばすこと約30分で、今回の旅の起点となる町、エンガディンに到着。王立国立公園の西側の端に位置するこの町からスタートして、園内のマウンテンバイク用の名コース、レディ・カリントン・ドライブをひた走ろうという計画です。ただ、エンガディンから入園するには、プリンセス・ハイウェイ(広い路肩がある)を北に向かって数キロメートル、公園入口の標識まで自転車に乗るか、押して歩くかして移動しなければなりません。
“Visitor Center“(案内所)の看板を目印に、海の方へ向かう道を行けば、ほどなく案内所に着くはずです。道案内もしてくれるし、道中お世話になりそうな地図やパンフレットも手に入るので、この案内所には立ち寄っておきましょう。ありのままの自然が迎えてくれるオーストラリアの公園は、最高の時間が過ごせる素晴らしいところ。この日は平日だったこともあって、コースの途中に私がすれ違った人数は、何とゼロでした! 案内所からは徒歩か自転車で、ロフタスという環状トレイルにも出られます。ロフタスは距離が短いけれど美しくてとても楽しめるコースだと、案内所にいた青年が話してくれました。
私は前述のレディ・カリントン・ドライブを進み、ハッキング川の橋を渡りました。少し先まで走ったところで、メインコースから外れて、少しだけ回り道をすることに決定。この土地らしい野生の海岸植生の方へと歩いてみたのです。いよいよ土の道が見えてきて、そこに足を踏み入れた途端、1匹のワラビーが驚いて飛びのくと、深い茂みの方へ逃げていきました。私が進んだのは、渓谷から山へと流れる川沿いの道。アップダウンが続き、数々の支流を越えていきます。支流のせせらぎは夏場にはほとんど干上がってしまいます。
案内所でもらったパンフレットによると、公園でワラビーを見かけることは珍しくないのだとか。同様にハリモグラ、イグアナ、コウモリ、フクロネズミ、場合によっては有袋類の一種で木から木へと飛び移るフクロモモンガなども出没するらしいですが、残念ながら私の場合、自然の中で彼らに出会えた試しはありません。
熱帯雨林の一部を通るので、ハリモグラやイグアナ、色とりどりの多種多様な鳥たちの姿を見つけるのも、ここでは特に難しいことではありません。
完走するのがそこまで大変なコースではありませんが、11月から3月までの間は、私のように飲み水を十分に確保してください。気温と湿度のせいで、体力の消耗が半端ないです! あらゆるものから隔絶された状態で、生い茂る樹木の中を数キロメートルほど走っていくと、滝の中心部に到着します。ここで再びプリンセス・ハイウェイに合流、そのまま北へと進んでエンガディンに戻ったら、多くの人は駐めておいた車で、中には電車の人もいますが、ここからシドニーへの帰路につくのです。
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