ニューサウスウェールズ州の当局はシドニー周辺のすべての住民に対し、公共の場におけるマスクの着用と厳重な警戒の継続を要請しています。
感染者が出たシドニーのノーザンビーチばかりでなく、このウイルスの感染の仕組みや感染拡大のしやすさを考えると、実質これは市全体、いや全国レベルの懸案事項です。したがって、ウイルス感染だけでなく、新たな規制、さらにはこの状況がもたらしうるロックダウンやさらなる制限事項についても心配な状態です。
言ってしまえば、悲惨な1年間を過ごした私たちが楽しんだとしてもバチは当たらないはずの、ごく当たり前のクリスマスの計画も、この新たなクラスター発生によって水の泡になりつつあります。
とにかくできるだけ家の中にいるように、症状が出た人は検査を受けるようにと言われ続ける日々。
何ヶ月間も多数の感染者を出し、長らく自宅待機が続いたビクトリア州とは違って、ここシドニー地域では、私の知る限り最近の数ヶ月は感染率がゼロ近くまで減少したことで、マスクを当たり前に着用する習慣も薄れつつありました。私も、感染の状況を確認したり、気を揉んだりすることがなくなったほどです。
そんなこんなで結局、私のクリスマスの予定は未定。豪州ではまさに夏ですから、本当ならビーチで友達とクリスマスを祝いたかったのですが、それができるかどうかはこれから何日かの状況次第というところです。
オーストラリアのクリスマスは、私が住んでいたイタリアを含むヨーロッパのそれとは大いに異なります。
外は雪、帽子をかぶりコートにくるまる人々…みたいな風景とは無縁。オーストラリアのホリデーシーズンは、短パンにビーサンがデフォルトの装いです。(中には裸足で出かける人も!)
とは言え、クリスマスの精神はしっかり存在しています。国民の75%近くが自称クリスチャンでありながら国教を持たないオーストラリアのクリスマスは、イタリアよりも宗教色が控えめではありますが。
平時のオーストラリアでは人々はクリスマスキャロルのナイトイベントに出かけます。夜、クリスマスソングを歌うのがこの国のクリスマスの風物詩ですが、これもその一つで、小さな町や大都市の郊外で開催されます。熱心なグループや協会のメンバーたちが老いも若きも揃ってクリスマスキャロルを披露するだけでなく、通常は慈善運動や類似の団体のための募金活動も行われます。全国的にはクリスマスキャロルの伝統をくんだ正真正銘のコンサートも開催され、こちらはテレビで放映されます。そしてもちろん、クリスマスツリーもオーストラリアでは欠かせない存在ですが、オーストラリアっ子を文字どおり夢中にさせるのは、何といってもクリスマス用の電飾です。
色とりどりの飾りや電飾でお化粧した、シドニーの高層ビルのバルコニーも見ものですが、多くの人々の情熱が余すところなく反映されるのは、彼らの住処である小さくとも感じの良い家やコテージ、邸宅が並ぶ、いわば都心郊外エリアです。それぞれの家の庭やファサードは、常軌を逸した勢いで飾られています。どこもかしこもカラフルなイルミネーション満載で、白や色とりどりの電飾がピカピカ光る実物大のソリをひくトナカイまで登場するという念の入れようです。
実際の人間の2倍か3倍の大きさの、空気を入れて膨らませるエアーインサンタなんていうものから色付きの文字飾り、そのほかデコレーション用グッズとしておよそ思いつく限りのものは、大抵ここで見られます。ヤシの木でさえ、クリスマスツリーさながらに電飾とリボンの飾りを施す徹底ぶり。誰の家が一等きらびやかで派手な仕上がり、俗に言う「ディスコ」効果が最も見事なデコレーションかをめぐって人々は競い合い、それぞれの通りではご近所さんたちが最も美しく飾り付けられた庭を訪れては惜しみない賛辞を贈ります。
そして子供たちは暖炉の前や家の中のどこかに靴下を吊り下げて、クリスマス当日のプレゼントを楽しみに待つのです。
オーストラリアのクリスマスのご馳走には、イタリア人家庭の食卓に並ぶ定番料理とはずいぶんかけ離れたものが混じっています。
オーストラリアのクリスマスは夏、昼食はかなり軽めです。大抵の場合はサラダに七面鳥、それに魚介類をたっぷり。特にエビは、クリスマスのご馳走に欠かせません!
デザートには、チョコレートとアーモンドを使った英国の伝統的なクリスマスのデザート、クリスマスプディングが登場します。
天気に恵まれ、Covid-19の感染状況も悪化しなければ、ビーチでクリスマスを迎えられるはずなので、その時こそは友達とエビのバーベキュー、通称「Shrimp on the barbie!」を楽しむ予定です。
フォトギャラリー
自宅近くで見かけた素敵すぎるクリスマスデコレーション