コロナ禍によるオーストラリアの国境封鎖は、2020年3月20日から2021年12月15日まで続きました。ほぼ丸2年の間、オーストラリアからの海外渡航は許可なしではできないし、何万人もの在外オーストラリア人が帰国もできず立ち往生という状態だったのです。この期間にオーストラリアへの入国を許可されても、何千ドルものお金を支払いコロナ禍対策の指定を受けたホテルで最短でも2週間の隔離生活を送る必要がありました。デルタ変異株の影響もあって感染者数が増加した夏には、メルボルンと大シドニー圏を中心に、再びロックダウンを余儀なくされました。
正常化に向けての最初の一歩となったのが、10月にシドニーとメルボルンでロックダウンが解除されたこと。オーストラリアの都市としては人口が2番目に多いメルボルンですが、計6回実施されたロックダウンが終わる10月まで1年半以上にわたり、累計260日間、9か月近くにおよぶ封鎖措置が敷かれました。これは、世界中のどの都市よりも長い期間です。
ロックダウンの解除が決定したのは、メルボルンを含むヴィクトリア州で16歳以上のワクチン接種完了率が70%を突破した時でした。
とは言え、制限解除の範囲はあくまで部分的なものだし、ワクチン接種を完了した人同士で集まってもよいのは屋内だと20名まで、屋外なら50名までの人数制限付き。生徒に半日だけ登校させるという学校もあるし、たとえば美容室でも、一度に入店できるのはワクチン接種を済ませた5名までと決まっています。
渡航封鎖がようやく解かれたということは、オーストラリアの二大都市であるシドニーとメルボルンの空港、つまり最も厳重な場所の制限が解除されたことを意味します。現在ワクチン接種済みのオーストラリア人は、隔離期間なしで出入国することも可能です。
ただしワクチン接種率が低い州では、14日間の隔離のための高額なホテル代などがついて回りますから、海外への渡航の自由はまだあってないようなものでしょう。
オーストラリアへ入国する旅行者にも必要な条件が定められています。出発前には出国72時間以内に受けた分子検査の陰性結果証明書の提示が、入国時には新型コロナウイルスワクチンの完全接種証明書の提示が必要です。
ニュージーランドからオーストラリアへの渡航についても、隔離の条件なしで再開されました。オーストラリアの観光大臣はニュースの中で、隔離なしに入国できるという状況がニュージーランド人旅行者数と訪豪に対する安心感のアップにつながるだろうと語っていました。
ワクチン接種キャンペーンが滞りなく進み、ワクチン接種率も順調に伸びていて、これは間違いなく良い兆候です。
オーストラリア政府の決定によると、ワクチン接種率が80%以上に達した州は州境の封鎖を解除し、海外からの入国も解禁できます(ヴィクトリア州とニューサウスウェールズ州がその例です)。ただ、州境の再開については各州の判断に任されており、州ごとに対応が異なることが予想されます。
イタリアへの里帰りと家族との再会は私の悲願ですが、もうしばらくは例のオミクロン変異株と、ヨーロッパを直撃中の第4波の動きを見守ることに決めました。国外に締め出されて帰国もままならず、こちらの生活と仕事に戻れなくなっても大丈夫と言えるような余裕はありません。
先行きはまだまだ不透明で、状況が一気に悪化する可能性だってないとは言えないのが現状だからです。
シドニーの風景