オーストラリアへ行ったことがある人や、オーストラリアの国境パトロールの番組をテレビで見たことがある人ならだれもがご承知だと思いますが、オーストラリアの税関職員は職業柄、世界でも最も厳格な人たちの部類に入ります。税関職員はとても厳しいオーストラリアの国境法に従わねばならないからです。
もしもオーストラリアへ行こうと思うのなら、税関検査は違法な物品に関するものを取り締まるだけにとどまらず、本当の意味ですごく厳しいことを心得ておいた方がいいでしょう。
実際、物品や個人の身の回り品の持ち込みに関する規則と条件はかなり複雑で、綿密な検査が行われるのが特色です。一般に考えられている状況とは異なりますが、これはオーストラリアのようなユニークで繊細な生態系を保護することが主な目的なのです。
では、どんなものが禁止されているのでしょうか?
・基本的に、すべての食料品(ビスケットやクラッカーなどの乾物は除く)と生鮮飲料。許可されているのは包装・密封された乾燥食品で、しかも自家製ではなく商業製品に限られます。
ワインは、正規の輸入ライセンスがある場合を除いて、最小限の量のみ持ち込み可。一般にアルコール類の持ち込みは厳しく制限・規制されています。
・どれほど厳格な職員でも厳密に調べるのはかなり難しいのですが、土砂類を持ち込むことは違法であり、入国者は通関のときに自分の靴底をチェックするように求められたり、最近海外の農場へ行ったことがあるか質問されたりすることがあります。
・特別なライセンスなしに、あらゆる種類の麻薬や偽造品、武器の持ち込みは当然のことながら違法ですが、これは世界中のほとんどの、あるいはどこの国でも同じですよね。
・大型家具の一部であれ、お土産品についている小さな装飾品であれ、非加工の木材については、オーストラリアは特に目を光らせています。加工されていない木材、葉や植物も、すべて持ち込みが禁止されています。オーストラリアの動植物の固有種に対する脅威となる可能性があるためです。
オーストラリア行きの便に乗る場合は、税関検査の前に持ち込み禁止物を捨ててしまうか、オーストラリアの税関で定められた禁止品目の持ち込みを申告するかしなければ、罰金をとられ、ひどいケースでは訴えられて刑務所に入れられる危険性もあります。
でも、だれでも間違うことはあるので、心配は無用です。もしもなんらかの物品の持ち込みを申請したとき、他のオーストラリア禁輸品目を持っていることをうっかり見落としてしまったとしても、誠意を見せれば罰則を受けることはないでしょう。
そういう場合、いくつかの選択肢が提示されます。最も簡単なのは、持ち込めない物品を無料で廃棄してもらうこと。あるいは、オーストラリアを出国するまでその物品を空港で保管してもらうこともできます。
場合によっては、特別許可証を申請し、税金を払って、その物品を返してもらうことも可能です。
オーストラリアは環境汚染を望まないので、脅威をもたらす怖れのある細菌や微生物を含む物品をすべて殺菌してから持ち主に引き渡すことになっています。
私の体験談ですが、バリに旅行したとき、木製の人形をいくつか持ち帰ったことがあります。税関では特殊な製品を使ってその人形に無料で加工を施し、返してくれました。
医薬品については、医師からの処方箋が必要となるものは、処方箋を英訳したものがあれば三ヶ月分まで持ち込むことができます。
オーストラリア行きの飛行機に乗り込む前に、オーストラリア入国カードを記入するよう求められます。このカードは、入国者の個人情報、オーストラリア滞在中に何をするのか、オーストラリアに何を持ち込むかについての情報を集めるためのものです。
オーストラリアに着いたら、入国審査を受ける必要があります。係員が乗客のパスポートと入国カードを確認し 、そのあと預けた荷物を受け取ることができます。その後に通常、個人の身の回り品と荷物の検査が行われます。
- 2022.09.12
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