北部地方は熱帯気候、南東部やタスマニア地方は温帯大陸性気候と、地域により気候も大きく変わるし、人が住んでいない地域もたくさんあります。
人口は広大な国土に分散していますが、その大半がニューサウスウェールズ州に集中しており、人口が2番目に多いのはクイーンズランド州です。
2大都市であるシドニーとビクトリア州メルボルンを合わせると、この国の人口のほぼ半分を占めることになります。
オーストラリア経済において農業と畜産業、漁業は非常に重要な分野であり、現在もオーストラリア人と外国人が従事しています。
オーストラリアでは、主に小麦、オーツ麦、トウモロコシ、大麦、米、野菜、果物、綿花、砂糖、たばこなどを生産しています。また、世界有数の食肉と羊毛の生産国かつ輸出国でもあります。農産物および畜産物のほとんどは、かつては政府企業により販売されていましたが、現在はMLA(ミート・アンド・ライブストック・オーストラリア)などの生産者団体に民営化されています。
乳製品の生産と販売を行う酪農業は、今でも国営です。
農業部門では生産量の半分を輸出していて、農業や漁業、鉱業、林業といった第一次産業のその他の部門を合わせると、オーストラリアから輸出される物品およびサービス総額の半分以上を占めます。
大きな可能性があるもののまだ発展の途上にある漁業部門は、日本や中国などの主要なアジア市場と米国に向けて、魚や甲殻類を輸出しています。
国土が広大であるため、オーストラリア市場の物流拠点は、東はシドニーやメルボルン、ブリスベン、西はパースに集中しています。物品の移動や価格設定に際しては、物流の問題や輸送にかかるコストも合わせて慎重に考慮しなければなりません。
以前書いた「ワインの名産地 ハンター・バレー」の記事でも紹介しましたが、オーストラリアは世界有数のワインの生産国および輸出国で、世界7位の年間生産量を誇るワイン大国です。飽和状態に近づいているとはいえ、力強い成長段階にあるオーストラリアのワイン市場は、一定のクオリティを持った新製品が生まれる余地がまだまだあると言えます。
オーストラリア産のワインの約半分は国内市場で消費され、残りの半分が世界各国に輸出されています。
経済成長率の高さ、中高額の所得、ビジネスに適した制度や規制、高い生産性、輸入品に対するオープンな文化性、関税の安さ、政治的背景、安定した経済など、とくに有利な特徴を兼ね備えたオーストラリアは、ビジネスチャンスも大きい国と言えます。
オーストラリア人労働者を雇用するには費用が高くつくし、農業に従事したい人を見つけるのが難しいため(オーストラリア人の多くは湾岸部とその周辺に住みたがるのです)、農場および農業ビジネスは、収穫から畑の管理業務にいたるまでアジアからの移民と、ヨーロッパをはじめとする有期のワーキングホリデービザで滞在する人たちに大きく依存しています。
ワーキングホリデービザでオーストラリアに来たイタリア人には何人も会ったことがありますが、彼らもまたビザの更新を農場や牧場に頼っているのです。農場で少なくとも3~4か月間働けば、滞在を1年間延長することが可能になるからです。
農業に従事するのは、以前ほどポピュラーなことではなくなりました。私が出会ったオージーたちはみんな、都会の近くでサービス業に就くほうが良いと言います。
さらに、オーストラリアの灼熱の日差しは厳しく、野外での仕事はやりがいがあるとはいえ、この国での農作業は本当に大変なのです。