アリス・スプリングスから車で5時間ほどの場所にあるのですが、岩の大部分が地中に埋もれているので、私たちが見られるのはほんの一部だけ。まるで、地中に沈んだ巨大な赤い氷山のようです。
ウルルがあるエリアにはもうひとつ、カタ・ジュタと呼ばれる岩石群があります。複数の岩がドーム状に連なり、頭がいくつも並んでいるように見えます。この2つの奇石群を擁するのが、ウルル=カタ・ジュタ国立公園です。
ウルル(エアーズロック)が見せる壮大な景色には、誰しも感動せずにはいられないでしょう。太陽の位置や時間帯、季節によって、岩肌の色が赤からゴールド、パープル、そしてブロンズへと変わります。この一枚岩こそオーストラリアのアボリジニの人々にとって最も大切な場所であり、聖地として崇められてきました。
中央オーストラリアでの長期プロジェクトを終えて何日か休暇が取れたので、この灼熱の土地を訪れるなら冬が最適であると考え、ここを訪れることにしました(オーストラリアの冬は6~8月末)。
オーストラリアのアウトバックはとても魅力的な地域ですが、誰にとっても最適な場所というわけではありません。信じられないくらい真っ赤な大地は、地元の人からは「レッド・センター」と呼ばれ、過酷な砂漠地帯であるアウトバックには多くの種類の動物がいて、オーストラリア大陸で最も危険とされる種も含まれています。
ウルル=カタ・ジュタ国立公園を個人で旅行しようなんてプランは到底勧められないけれど、現地のアボリジニガイドの助けを借りれば、アウトバックを旅するなんて夢も、誰でも実現できるんですよ。
ウルルをぐるりと囲んで、ベース・ウォークと呼ばれる周回歩道が整備されています。夜明けには主にオレンジや赤、日暮れにはピンクがかった色や紫など、時間によって岩肌の色の移り変わりが楽しめる歩道で、散策する価値があります。
ウルル・ベース・ウォークからそう遠くないところにカルチャーセンターがあり、オーストラリアのアボリジニの人々がデザインした作品を見たり買ったりできるだけでなく、彼らと直接話したり、彼らの文化について質問したりすることもできます。カタ・ジュタはたくさんの小さな岩山から成り 、最も高いのがオルガ山で、カタ・ジュタ全体がオルガ山と呼ばれたりもします。南北に長いオーストラリアのアウトバックはいくつもの気候地帯にまたがり、オーストラリア大陸の70%を占めています。
カタ・ジュタのすぐ外側にあるユララは、エアーズロックにやって来る観光客の大半が泊まるという小さな町で、私もここに滞在しました。ホテルやホステル、キャンプ場、ショップなど、あらゆる好みと予算に合わせて楽しめる施設が揃っています。ここで最も素晴らしい体験といえば、砂漠でキャンプをし、知らないハイカーたちと一緒にバービー(バーベキュー)を楽しむこと。テントで夜を過ごすことに抵抗がある人なら、万全の快適さを備えたホテルを選ぶこともできます。
大抵の宿泊施設ではさまざまなエクスカーションが企画されており、その一つが砂漠の真ん中で催される光のインスタレーション「フィールド・オブ・ライト」。ブルース・マンローというイギリス人のアーティストが手がけたもので、昼間は全く目立ちませんが、夜になると幻想的な魅力を放つ作品です。
通路は5万個ものカラフルな光に照らし出され、まるで青白い光の花々が咲き乱れる真空のトンネルを歩いているようです。