イタリアやその他多くの国と同じく、オーストラリアでは二重国籍を取得できるので、ふたつのパスポートを保有することも可能です。では、オーストラリアで完全な市民権を得るにはどうすればよいのでしょうか。
移民の場合、まず求められるのは永住ビザ(Permanent Visa)の取得です。これは5年間有効で、そのままオーストラリアに住む場合でも更新する必要はありません。
オーストラリアの市民権を得るには、有効なビザを保有した状態で4年間以上オーストラリアに在住し、そのうち少なくとも1年間は永住権を取得していることが必要です。ここで注意しなければならないのは、その4年の間に国外で過ごした期間が合計1年未満であることと、申請前の1年間に国外に滞在した期間が90日未満であることです。
これらの要件を満たしたら、次に写真と現住所、コミュニティにおける身分証明書、出生証明書のコピーなどの必要書類を提出します。これには、出身国の司法制度において有罪判決および係争中の事件歴がないことを証明する、犯罪経歴証明書(Criminal Record)の提出も含まれます。しかしこれで終わりではありません。あなたの身元を証明できる人物に身元確認宣言書(Identity Declaration)を記載してもらう必要があります。これは、オーストラリア市民であり、かつあなたを1年以上知っている人物に、申請内容が正しいことを確認してもらう書類です。この人物はあなたと親族関係になく、容易に電話で連絡が取れる人でなければなりません。その人に電話がかかってきますから。
ここまで要件を読んでいるだけで、うんざりした気分になりましたか?
そんなこと言わないでください! 提出したすべての書類に承認が下りれば、あとはオーストラリアの国や習慣、法律などに関する知識を証明するための簡単なテストを受けるだけです。こちらは20問からなる選択式のテストで、入国管理局(Immigration Office)で行われます。合格するには75%以上正解する必要があります。テストに合格すると、市民権授与式に招待されます。この式典で国への忠誠を宣言し、市民権証明書を受け取り、選挙権を取得します。
オーストラリア人と結婚した場合も、だいたい同じような流れです。同様の条件を満たすことが必要で、永住ビザを取得した後に市民権を申請します。
また、オーストラリアは国籍取得において血統主義を採用しているので、両親のどちらかがオーストラリア人の場合、他国で生まれた場合でもオーストラリア国籍を取得することができます。この場合、自動的にオーストラリア国籍を得ることはできないので、特別な用紙で申請を行います。
オーストラリアの滞在ビザがない非市民は違法非市民(Unlawful non-citizen)とみなされ、身柄を勾留される恐れがあります。有効なビザなしにオーストラリアに入国した人、ビザを取り消された人、ビザの期限を越えて滞在した人などが含まれます。
オーストラリア内務省(Department of Home Affairs)の統計によると、約1,500人が移民局に勾留されているのだとか。亡命を希望する人かどうかの記載はありませんが、このうち約5分の1が有効なビザなしに入国した人たちです。
2013年7月以降、有効なビザを持たずに入国した人物はパプアニューギニアにあるオフショア施設などに収容され、生涯オーストラリアに入国することはできません。ただし、このオフショア施設収容対象者で亡命を希望している人は、内務省が発表する統計にはカウントされていません。
- 2024.11.05
- オーストラリア市民権の取得方法