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  • 2017.11.07
  • フラットアイアン・ビルはなぜこんなに平らなのか?
ニューヨークのシンボル的ビルについて語る場合、誰もが知っている話の繰り返しになることが多いので、今日はこの素晴らしい街にやって来た人が一生のうちで見ることのできる最大のアイロン型ビル、マンハッタンのフラットアイアン・ビルについてご紹介したいと思います。
「マンハッタンの」と明記したのは、アメリカには少なくとも十数棟のフラットアイアン・ビル(平べったいアイロン型の三角ビル)があるからです。ジョージア、シカゴ、テキサス、テネシー、そしてなんとブルックリンにまで、それぞれの街に一棟ずつあります。
でも、一番写真に撮られることが多いのは、有名な5番街とブロードウェイ通り交差点の22丁目と23丁目にあり、美しいスクエアを見渡す場所に建つマンハッタンのビルです。シカゴの建築家、バーナムの設計プロジェクトに基づいて1902年に完成したこのビルは、建設会社の名前をとって当初はフラービルと呼ばれていました。フラットアイアンという名前はニューヨーカーがつけたものです。ビルの形状から名付けたか、ビルが建っている三角形の区画がすでにフラットアイアンと呼ばれていたことが由来と思われます。




この高層ビル建設の背景には、当時どちらかといえば寂れていた14丁目より北のエリアを活性化させるための広範なプロジェクトの一環という構想がありました。
しかし、フラットアイアンの建設は少なからず議論を湧きおこしました。ニューヨークの建築家たちが、石灰岩と粘土の外壁を持つ鉄骨ビルを建設する、というこのプロジェクトに興味を持ち歓迎した一方で、一般市民は低機能なビル内オフィス内装に不満を感じたからです。というのも、ビルには窓が多すぎて小さな書斎を作ることさえまったく不可能であり、最上階オフィスは本当に狭くて、閉所恐怖症に陥りそうでしたから。なにしろ、頂点の幅はたった6.5フィート(2m)、高さ約300フィート(80m)の22階建てなのです。
このビルは今もニューヨークのシンボルですが、100年以上前に完成した当時もたちまちニューヨークの思惑である、最初の垂直開発都市となり活気あふれる近代経済の中心地になる、という野心の象徴となりました。
ある建築家の友人は、ビルの角が丸みを帯びているのは、マンハッタンの中心にある柱のように見せ、錯覚させるためだと考えています。このビルの建築構造において、人々を驚ろかせ、人気を呼ぶ要因となったのはその高さです。鉄骨フレームを全体に採用し、初めて電動エレベーターを設置したことから、当時としては最高の高さが可能になりました。消防システムに加え、ビル内暖房や建設当初からのエレベーター動力に必要な熱を生産する余剰蒸気を活用した発電プラントも完備した、初の自立型高層ビルでもありました。
周辺一帯は、このビルに明確に言及してフラットアイアン地区と呼ばれています。




フラットアイアンは常に保険会社や不動産会社の拠点となっていることで知られてきましたが、アイコニックなこの建物は出版社の拠点でもあります。中でも一番有名なのは、実在はしませんが、映画『スパイダーマン』に登場するデイリー・ビューグル社でしょう。
ところで、フラットアイアンの地下6フィート(約1.8m)にある地下道に、ブロードウェイで働く俳優やアーティストに人気のレストランがあったことはあまり知られていません。後に大きな居酒屋、ニューヨーク初のゲイフレンドリーレストランのひとつとなりましたが、禁酒法時代に閉鎖されました。
ビルの1階は常にショッピングエリアとして利用されてきましたが、最近、イタリアの大手不動産会社がフラットアイアンを購入しました。
フラットアイアンについては多くの構想やプロジェクトがありますが、高級ホテルに改装する案もその一つです。

特派員

  • クラウディア・ ディアス
  • 職業ニューヨーク大学教授

私は、ニューヨーク大学でスペイン文学と演劇の教授をしていますが、もともとはカリフォルニア出身です。余暇には長い時間散歩をするのが好きです。ニューヨークでは常になにか新しいものをあちこちで見つけることができるので、それが本当に大好きです。この街のお気に入りの季節は秋です。秋にはセントラル・パークの紅葉が素晴らしく、私の大好きなハロウィーンもあるからです。
私のブログを通してみなさんにニューヨーク市と、私の住むブルックリンに興味を持っていただきたいと思います。また、ここに住む人間の目から見たビッグアップルについての新たな視点を紹介したいと思います。

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