そのどれもが文化的探索にとどまらず、リアルな体験を提供しています。規模やコレクションに違いはあっても、興味深さや行き届いた管理はどこも共通していて、誰もが楽しめる必見のものもあれば、好奇心旺盛な人や一部の目利きにしかお勧めできないようなものもあります。
MoMAで知られる近代美術館は、有名な傑作を所蔵しているため万人受けする施設ですが、先入観なしに訪れる近代美術ファンにも向いています。
この美術館は2014年に4億ドルの改修工事を完了し、再オープンしました。
開館75周年を迎えると同時に、2倍の広さに拡張されたのです。
設立されたのは1929年で、なんと世界大恐慌の9日後のことでした。しかも、創設者のリリー・ブリス氏(死後、プライベートコレクションを美術館に寄贈)、メアリー・クイン・サリバン氏(有名なアートコレクターの妻)、アビー・ロックフェラー氏(世界一の大富豪の息子と結婚)は3人とも女性です。この3人の裕福な女性たちは、現代的で革新的なヨーロッパの作品を展示するために仮設ギャラリーをオープンすることに決めました。絶望的な恐慌のさなか、斬新ながら実現するとはとても思えないコンセプトでした(実際には成功しましたが)。
この美術館は当初、プライベートギャラリーとして設立され、メンバーは芸術作品を展示するためにお金を寄付できるようになっていました。人々はこのコンセプトのおかげでビジュアルアートを知り、楽しみ、活用することができるようになり、近代美術の世界を理解するようになっていったのです。
この仮設ギャラリーは後に常設展となり、世界屈指の重要な近代美術館として発展を遂げ、年間来場者数は250万人を超えるまでになりました。
現在MoMAには19世紀末以降に制作され、世界中から集められた10万点以上の芸術作品が所蔵されています。
建築から写真、絵画、デザイン、映画、マルチメディアプロジェクトまで、さまざまな分野の近代美術や現代美術の傑作がそろっています。ここに展示されている何千もの作品の多くには、抜群の知名度を誇る近代美術や現代美術のアーティストのサインが刻まれていて、一番よく知られている作品の中にはファン・ゴッホの『星月夜』やモネの『睡蓮 』、ピカソの『アビニヨンの娘たち』、アンディ・ウォーホルの『キャンベルのスープ缶』などが含まれています。これらは最も人気のある作品のほんの一例ですが、館内には多くの人はもちろん、ひょっとしたら制作したアーティスト本人さえも理解できていないような、ほとんど無名の作品も展示されています!
私はアートが大好きですが、正直に言うと近代美術の芸術作品の中にはあまり良さが分からないものもあります。セザンヌやモネ、ファン・ゴッホの作品は見たいと思いましたが、MoMAには、より若いアーティストが制作した企画展のスペースもあって、壊れた椅子や金属の立方体に秘められたコンセプトを理解するのは素人には厳しい場合もあります。
ニューヨークのミュージアムでは特定の日に無料開放を行ったり、自分の好きな金額を払って入館できることがよくあります。MoMAのような施設はいつも観光客でいっぱいですが、地元の人たちは大抵、無料で入館できる金曜日の午後4時~午後8時にやって来ます。ゆっくり見て回るほどの時間はありませんが、市内に住んでいればほぼ毎週のように友達と来ることだってできます。この時間帯に入り口に押し寄せる大勢の来館者にびっくりする人もいますが、人の流れは迅速かつ効率的に管理されています。それに、夏の夕暮れ時に美術館の巨大な窓ガラス越しに差し込むオレンジ色の光の中で見る芸術作品は見事です。
夏には美術館の見学後、敷地内のかわいいカフェで冷たい飲み物を味わいながら、テラスに並ぶ彫刻を鑑賞することもできます。
アート好きが集まって作品の意見を言い合っていることもあるので、聞き耳を立てているとすごくクールな気分になれる、とても面白い場所ですよ!