他の西洋諸国の慣習と似たものもあれば、ローカル色の強い、国内に住む多種多様な民族を起源とするものもあります。
午前0時ちょうどにパートナーにキスをするのは最も一般的な慣習のひとつですが、実際のところ、この慣習で求められるのは近くの人とキスすることであり、その相手は見知らぬ人でも構わないのです。それは悪霊を追い払って、悪霊のいない新年を迎えるのが目的だからです。これはヨーロッパの人々に由来する、古い起源を持つ風習です。
その他の典型的な慣習としてはササゲを食べるというのもあって、この豆を食べた人には幸運と繁栄に満ちた新年がもたらされるとされています。実際、豆はコインを象徴し、たくさん食べればその後数カ月の間に大金を手にする望みが叶えられるといわれています。
アメリカにはヨーロッパ同様、色の付いた下着を身につけるという慣習もあります。でも、赤い下着が慣例のヨーロッパの国々とは違って、アメリカでは赤は愛情、黄色は幸福、水玉は幸運、緑は健康といった具合に、自分の願いに合わせてさまざまな色を選ぶことができます。
ニューヨークのタイムズスクエアでは1904年から、世界有数の知名度と人気を誇る新年を迎えるためのイベントが開催されています。タイムズスクエアには毎年100万人が詰めかける一方、このイベントをテレビで見ている人も数百万人以上にのぼります。
毎年12月31日、タイムズスクエアでは午前0時までのカウントダウンを行うための盛大なイベントが繰り広げられ、寒さと興奮に震える何千人もの人たちが真夜中ちょうどにボールが降りて来るのを待ちます。
待ち時間は長く、大抵とても寒いのですが、イベントを生で見たい人は座る場所(大半は立つ場所だと思われますが)を取るために午後の早い時間からタイムズスクエアに出かけます。このエリアは定員に達したところで警官によって封鎖されるので、その前に到着しておく必要があるからです。
毎年、大晦日の夜にはタイムズスクエアの上から落下する光り輝くボールから、色とりどりの何百万枚もの紙吹雪が舞い散り、新年の訪れを宣言します。この紙吹雪には世界中の人からの挨拶の言葉がカラフルに記されています。タイムズスクエアのボールドロップミュージアムでは1年を通じて、観光客と地元の人が次のボールドロップの際にまかれる紙吹雪にメッセージを書いて投函できるようにしているのです。
ニューヨーク市は2016年から厄払いの日という新たな「お祝い」を始めました。
この新しい慣習は12月28日に実施され、背景にあるアイデアはその年の嫌な思い出をタイムズスクエアに設置された巨大なシュレッダーに放り込んで粉砕するというものです。これに参加する人は、悪い思い出を書き出し「その思いを捨てるために」シュレッダーにかけることになります。
しかし、この知名度の高い場所で行われるイベントは、大晦日を派手に祝えるように大都市が提供する数多くの機会のひとつに過ぎませんし、カウントダウンは「観光客向けのイベント」とみなされており、ニューヨーカーたちは大抵、大晦日にはタイムズスクエアに近づきません。
ホテルのイベントからプライベートなパーティーまで、その年最後の夜を可能な限り最高なものにするための選択肢は山ほどあります。
ブロンクスでニューヨーク植物園を訪れる観光客は、自由の女神からブルックリン橋まで、ミニチュア化された約150のニューヨーク市のアイコンの周りを数本のミニチュアトレインが走り抜ける素敵なホリデー・トレイン・ショーを見ることができます。
また、タイムズスクエアの人混みを避けてボールドロップショーを楽しみたい人は、ブルックリンのコニーアイランドでも正にそれを実現できます。実際、人気の遊園地内ではサーカスのようなショーに合わせて、パラシュート・ジャンプタワーから小ぶりの光り輝くボールが落下してきます。その間もレストランやウォーターフロントのアトラクションはオープンしたままですけどね。
とても勇敢な人たちは毎年1月1日に、コニーアイランド・ポーラーベア・クラブ(寒中水泳クラブ)と一緒に海水浴で新年をスタートさせることができます。凍えるほど冷たいこの寒中水泳は、末期の病気の子供を支援する団体を応援するためのチャリティーイベントです。
でも、ブルックリンでの最大の祝賀イベントは、区役所が主催するプロスペクトパークでの真夜中の空を明るく彩る深夜の花火大会です。
一方、セントラルパークでは恒例のニューヨーク・ロード・ランナーズ・ミッドナイト・ランが午後10時頃から音楽やダンスとともに開催されます。レースは園内で午前0時ちょうどに市が打ち上げる花火とともにスタートします。
ブロードウェイを下っていくと、公演が始まる前にとっておきのシャンパンで乾杯できるミッドナイトショーを上演するシアターもあります。