まずご紹介しておきたいのは、ウィリアムズバーグにこれほど人気が出て、ヒップスターが集まるようになったのはここ数年に限った話で、今なお厳格なユダヤ教徒が暮らす街並みを残しつつ、ヒップスターカルチャーも発展しているということです。面白いのは、各エリアには境目がほとんど見当たらないのに、それぞれの違いがこれ以上ないほど際立っている点です。ユダヤ人の古いしきたりや生活スタイルをひしひしと感じながら、カラフルな落書きであふれるエリアを自転車で駆け抜ける若者の姿も目にすることになる、これがウィリアムズバーグなのです。
つまり、このエリアにたくさんあるカフェのひとつで、ヒップスターがコーヒー的な何かを飲んでいるかと思えば、ヴィンテージの花柄のワンピースと麦わら帽子を身に付けたかわいい女の子が散歩しているといった具合です。
ウィリアムズバーグはアートギャラリー、ヴィンテージショップ、古本屋、ストリートマーケット、無料コンサートなどが楽しめるおすすめスポットというだけでなく、ニューヨークシティでの引っ越し先として最も人気のあるエリアのひとつでもあります。このリラックスした楽観的なムードの街で暮らすことで、それまでよりちょっと幸福な気持ちになれるからです。
このエリアのメインストリートと言えばベッドフォードアベニューです。毎週日曜日は路上でフリーマーケットが行われ、中古品やアンティークを中心に多種多様なものが並びます。
ここから北へ数ブロック行ったところにはマッカレン公園があり、夏にはヒップスターに囲まれながら泳ぎ、冬には新しいアイススケート場でスケートを楽しむことができます。
私のようにドラマ『Girls』のファンなら、すぐに分かるドラマのロケ地がたくさんあるこのウィリアムズバーグがきっと気に入るはずです。
グリーンポイントはニューヨークで今最も注目されている有望なエリアです。マンハッタンの喧噪やすさまじい交通量にさらされているニューヨーカーは市内のより閑静な地域を求めるようになり、最初に白羽の矢が立ったのがビッグアップル(ニューヨークシティの愛称)の目と鼻の先にあるウィリアムズバーグでした。その次に注目されているのは、のどかで労働者階級の多い、つぶれかけた建物が建ち並ぶ庶民の街、グリーンポイントなのです。
ブルックリン北部に位置するグリーンポイントはウィリアムズバーグのすぐそばにあります。リトルポーランドとして知られていて、シカゴに次ぐ国内で2番目に大きいポーランド人コミュニティの拠点となっています。このエリアは勢力を増していて、人口密度も家賃もべらぼうに高いブルックリンの他のエリアから引っ越してくることを考える人もどんどん増えています。
マンハッタン直通の地下鉄線はないので、マンハッタンに行くには乗り換えが必要になりますし、ナイトライフはちょっと退屈な印象もありますが、実際にはニューヨークの緑豊かなこのエリアは魅力にあふれています。
グリーンポイントが人を惹きつけている理由のひとつは、膨大な数のアウトドアスポットがあることです。グリーンポイントの主要な公園であるWNYCトランスミッターパーク(グリーンポイントアベニューとウェストストリートに囲まれている)にはイーストリバー沿いに素晴らしい散歩道があり、比類ないマンハッタンのスカイラインの美しい景色を目の前に臨むことができます。最高でしょう?
WNYCトランスミッターパークの観光客の混雑を避けて、ニューヨークの超高層ビルを眺めながら閑静なエリアを歩きたければ、ニュータウンクリークを訪れてみてください。水辺にさまざまな植物が生い茂るこの場所で、度胸のある人はなんと水中に潜ります。といっても、これは寒さに挑戦するものではありませんよ。余談になりますが、ニュータウンクリークには下水処理場があってガイド付きの見学ツアーが用意されているのです。
マッカレン公園の近くにグリーンポイント屈指の有名な庭園があります。園内には日曜日の遅い朝食や午後のハッピーアワー、安いビールでとても人気のある巨大なアメリカンパブが店を構え、この巨大なパブからそれほど離れていない場所にはこのエリアで最も有名なレストランのひとつもあります。このレストランは装飾が見事で、屋外のテラスに小さなテーブルも設置されていますが、10棟もの建物がある敷地内では雰囲気や料理はそれほど目立ちません。しかし、レストラン「ファイブ・リーブス」は薄幸なヒース・レジャーが生前に立ち上げたレストラン建設プロジェクトに基づいてオープンしたという経緯があるため、グリーンポイントにやってくる観光客の間で大人気です。オーストラリア出身のこの俳優はプロジェクトの完了を見届けることはできませんでしたが、彼の家族が責任を持って彼の最大の夢のひとつを実現し、このレストランをオープンしたのです。