ニューヨーク港に浮かぶ自由の女神は政治的自由と民主主義のシンボルで、かつては非公式な海の玄関口として移民を受け入れ、今ではビッグアップル(ニューヨークシティの愛称)を見物しに来る世界中の観光客を歓迎しています。
自由の女神はコロッセウムやエジプトのピラミッドと同じように、誰もがよく知るモニュメントのひとつです。
アメリカの独立100周年を記念してフランス政府から贈られ、1886年に公式に一般公開されました。
制作したのはフレデリック=オーギュスト・バルトルディで、像は356個のパーツに分けられ、200箱以上に分散されて船で運ばれました。つまり、まず運搬時に物理的に分解され、右腕とトーチはしばらく離ればなれになっていたのです。その後もこの女神像は、ドイツ人スパイによる軍需品貯蔵施設での組織的破壊工作によってダメージを受けました。この爆発で100本の鋲が吹き飛ばされ、損傷の激しかったトーチを金箔で覆うため小規模な修復も必要となりました。
自由の女神はニューヨークにあるものがオリジナルだと思っている人が多いですが、実のところ、鋳型はパリ工芸博物館にあります。この鋳型から12体のレプリカが造られ、最初に誕生したレプリカはこの博物館の入口に設置されています。フランス由来のこの像の2番目のレプリカは、日仏の友好を記念して90年代の終わりに日本の東京に運ばれ、今も人口島のお台場にあります。パリにはリュクサンブール公園に面した小さな中州にも小型の自由の女神像があります。 長い年月の間に、世界中の国でたくさんのレプリカが制作され、中にはあまりできのよくないものもけっこうあります。これまでに造られた302体のレプリカはあちこちに点在していて、ラスベガス、コロンビア、スペインなどはほんの一例です。
ニューヨークの自由の女神の入場チケットには、マンハッタンの最南端に位置するバッテリーパークから出るフェリーの乗船代が含まれています。フェリーはリバティー島とエリス島に停まりますが、時間制限はないので2つの島を見て回りたければゆっくり時間をとることもできます。
エリス島は市内のお気に入りスポットなので前にも詳しく述べたことがありますが、ニューヨークに来ても自由の女神を見学しなければ意味がないと私は思います。
ロウアー・マンハッタンからフェリーに乗る前、乗客全員に空港並みの厳重なセキュリティチェックが行われます。モニュメントの中に入りたければ、さらにもう1度セキュリティチェックを受けることになります。
リバティー島に着いたら、台座とそのてっぺんにある展望台へ入場できます。女神の像を下から見上げることができますし、空を背景にマンハッタンの高層ビル街を撮影することもできます。この絶景スポットにたどり着くには215段の階段を登るか、途中までエレベーターを利用します。台座のホールにはリバティー島博物館もあります。
観光客の中には女神の王冠まで登る人もいます(入場可能な日には)。
王冠までは354段の狭い階段が続いています。ここまで登ってみたい人にぜひアドバイスしたいのですが、セキュリティ上、持ち込めるのはチケット、カメラ、薬だけで、その他の荷物はすべてロッカーに預けることになっています。
自由の女神の便利グッズやおみやげ品には、プラスチックでできた小さなレプリカから、ぬいぐるみ、バービー人形まであり、市内のあらゆる場所で売られています。
ニューヨーク最大の集客を誇るモニュメントのひとつであり、毎年400万人以上の観光客が押し寄せます。
2001年9月11日の同時多発テロ以降、像の中の台座と王冠は長期間にわたり閉鎖されていましたが、幸運なことに再開されました。