美しく晴れわたった火曜日の朝、友達とヒマーチャル・プラデーシュ州のカソルという美しい街にやって来ました。トレッキングをしようと前から計画していたのです。これから歩くトレイルについては何度も耳にしていましたし、目的地が秘境、キリガンガとあって、私たちはみんな盛り上がっていました。バッグを持てばトレッキングの用意は完了です。運良く団体ツアーを予約できたので、食べ物やホテルは手配してもらえますし、荷物のほとんどはホテルに置いて行けます。持って行くのは小さなバッグに入れた防寒着と水だけですみました。私たちがこれから進むのは、登り10km、下り10kmの往復20kmコース。準備が整い、トレイルの出発点に着いたのは正午でした。トレイルは橋の下を流れる雄大なパールヴァティー川とともに、私たちを迎えてくれました。
トレイルの至る所で、力強い川の音が心地良く響いています。歩き始めて最初の2kmは、岩場や山をひたすら登るだけでしたが、周りの景色が前に進む勇気をくれました。この美しい景色をさらに見たいと思いました。2kmを過ぎると、驚いたことに小さなカフェがあり、椅子のある合流場所もありました。水や軽食でリフレッシュした後、カフェで水のボトルを買い足そうとしたら、ガイドさんに止められました。冷たい新鮮な湧き水が途中にたくさんあると言うのです。ガイドさんの言ったとおり、トレイルには新鮮な湧き水の出ている場所が本当にたくさんありました。清らかでとても新鮮なこの湧き水が、長い間、人々の喉の渇きを癒やし続けているのですね。
トレッキングの最初に登りのきつさを味わった後は、上り坂に体が慣れてきて、トレイルと周りの景色を心から楽しめるようになってきました。運良く秋に来ることができたので、母なる自然が美しい秋の景色を見せてくれました。山のほぼすべてが緑色、オレンジ色、黄色、茶色に染まっていて、夢のような光景でした。これを見た瞬間、このトレッキングに来て本当によかったと感じました。
でも、私たちが感動したのはこれだけではありませんでした。ここには見どころがまだまだあります。トレイルの途中には、小さな村が点在していてびっくりしましたが、山岳部に住む人々の生活を垣間見たり、自分たちの生活とどんな違いがあるか知ることができて、とてもためになりました。家はすべて太い木で作られていて、服装も私たちとはぜんぜん違います。みんな大きな笑顔で私たちを歓迎すると、自分たちの仕事を再開していました。こうした村に沿ったトレイルは上り坂が少なめで、よりたくさんの風景や人にめぐり会えるので、歩くのが少し楽に感じられました。
このトレイルもそろそろ終わりに近づいてきました。ここに来るまでにも、すでに素敵な体験をしてきましたが、目的地へ向かうスタミナと興奮はまだ持続していました。そして、ついにトレイルの頂上に到着しました。そこは聞いていたとおりの、神秘的で息をのむような魅力的な場所でした。ここに着いたのは午後4時半だったので、4時間半の長い道のりを、休憩と昼食、それに景色を楽しむ以外、ほとんど止まらずに進んで来たことになります。疲れ果てていたので、その晩をすごすカフェでぐったりとしてしまいました。キリガンガの最大の魅力のひとつは、寒い山のてっぺんにある天然温泉です。私たちは午後6時頃に向かって、1時間ほど温泉につかりました。お湯のおかげでなんとか体の疲れをとることができましたから、まちがいなく薬効 がありますよ。その晩は、たき火を囲んでおしゃべりをしたり、夕食をとったりした後、テントに引き上げました。翌朝の帰り道も、行きと同じぐらい素晴らしいものでした。今回の旅の魅力は言葉では言い尽くせないほどのものです。人生でこんな体験ができたことを、とても運幸に思いました。