• 2017.09.04
  • グレーなロンドンをカラフルな色とドラム音で包み込むノッティング・ヒル・カーニバル
ノッティング・ヒル・カーニバルはリオデジャネイロに次ぐ世界で2番目に有名なカーニバルです。ヨーロッパ最大級のストリートフェスティバルでもあり、ロンドン屈指の待望の夏のイベントです。
ノッティング・ヒルというロンドンの名高い地区で行われるこのカーニバルは、マルディ・グラの祭典をはじめとする伝統的なカーニバルとは異なり、2月ではなく8月に毎年開催されます。

カーニバルが開催される週末は当然、この街で最も重要な夏の週末であり、ロンドンには世界中から観光客が押し寄せます。
土曜日は若者がストリートに押し寄せ、踊ったりしますが、日曜日は独創的なベストコスチュームに賞が贈られるなど、家族連れや子供向けの1日となっています。
カーニバルのハイライトは月曜日(サマー・バンク・ホリデーで祝日) で、フェスティバルの最終日ということで大規模なパレードが催されます。

このカーニバルは、ロンドンのカリブ人コミュニティ(特にジャマイカ出身者)が自分たちの文化や伝統、料理を大規模な祭典で祝い、たたえることに決めた1964年に誕生しました。そして、あっという間に世界中で知られるようになりました。
色とりどりの衣装を身にまとったダンサーやスチールドラマーたちが、この地区の路地で音楽を奏でたり、トロピカルフードの屋台を出すようになったのもこの年からでした。

このようなカーニバルはトリニダード島で特に人気を博すようになりましたが、これは同国の奴隷制廃止を祝福するためのものでした。
奴隷制が施行されていた間、フェスティバルは禁じられていたため、自由の身となったカリブ系移民たちは、カーニバルを創造することによって新天地で目いっぱい自由を楽しむことに決めたのです。
長い年月の間に、このカーニバルは社会文化的議論や、ロンドンの黒人およびカリブ人のコミュニティがアイデンティティーを主張するうえで中心的役割を果たすようになりました。
このイベント期間中、たまに衝突が起きることもありますが、9千人を超える警察官と約4万人のボランティアの協力のおかげで、近年は状況が大幅に改善されています。

パフォーマー、ドレスアップした人々、ミュージシャン、ダンサーが主にレゲエやサルサの生演奏に合わせて、3マイル(約4.8km)の道のりを行進します。
付近一帯のあちこちに数多く設置された音響装置から音楽が流れ出し、典型的なアフリカ部族の踊りを思わせる古い民謡などの伝統的音楽に乗って、エンターテイナーやライブパフォーマーが踊りを披露します。
仮装した団体は「マスバンド(マスは仮想の意味)」と呼ばれます。

どの団体も特定のテーマに沿ったカラフルなコスチュームを身に付けています。
コスチュームはもともと、典型的なカリブの神々を描写していたので、お化けのような恐ろしい姿のものも少なくありませんでした。しかし、時代の流れとともに、よく知られている部族の伝統とは距離が置かれるようになり、より現代的なもの、あるいは様々な自然の側面に関連したイベントを表現するものへとシフトしていきました。

パレードの行われる通り沿いには、さまざまな民族によるカリブの名物料理の屋台が建ち並び、味覚を楽しませてくれます。
カリブ料理はフランス、スペイン、オランダ、イギリス、アフリカの料理の影響を常に受けてきました。ですから多種多様な料理が味わえますし、屋台では肉または野菜に添えるインド系カリブフードのロティ(無発酵パン)や干し肉、豚肉のマリネ、米とエンドウ豆、豆の入ったご飯、カレーなども売られています。

夜を盛り上げるのは近くのパブやレストラン、クラブで繰り広げられる楽しさ満載のパーティーで、たいてい特定のテーマに沿っています。
このカーニバルの醍醐味は観客としてではなく、主人公として参加することなので、ぜひ仮装してパレードに加わったり、路上で踊ったり、大勢の人の輪に溶け込んでみてくださいね。
カーニバルにはピンク・フロイドのような伝説のバンドが参加していたこともありました。そういうわけでこの地区は今、ロンドン中でVIPや有名アーティストに最も愛される地域のひとつとなりつつあります。

Gian Belloli - Carnival by Gian

Gian Belloli - NottingHill by Gianノッティング・ヒル・カーニバル




特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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