• 2019.01.25
  • ブレグジットの本当の意味
Britain(イギリス)とExit(離脱)を組み合わせたブレグジットという言葉は今や世界中の誰もが耳にしています。
ブレグジットはギリシャの欧州連合(EU)離脱を意味するグレグジットにならってメディアが作り出した用語で、昨年の夏からよく使われるようになりました。
とは言え、多くの人はブレグジットの実質やイギリスのEU離脱がもたらす結果をまだ理解しきれていません。そこで、重要点をよく理解できるように調べてみることにしました。
イギリスは2年ほど前に実施した国民投票によって、欧州大陸からの「絶縁」を決定しました。
この調査で私が最初に学んだのは、イギリスのEU離脱は自国経済だけでなく世界経済全体に影響を与えるということです。
イギリス人が示したシグナルは、欧州という枠組みとその機能に疑問を投げかけ、「欧州懐疑主義」を掲げるあらゆる政党に新たな活力をもたらしました。
キャメロン前首相はEUの国際管理機関に立ち向かい、通貨同盟に参加しないことで不利益を被むっているイギリスを守るために、より多くの商業的・財政的権利を要求することを迫られました。
あいにく国民投票の翌日にポンドは急落し、対ドルで約15%、対ユーロで10%の下落が続いていますが、イギリス経済はブレグジットが効力を発揮する2019年以降、成長すると言われています。
イギリスに住んでいる私たちは皆、インフレが進行して過去3年半のピークに達していることに気付いていますし、公式データによれば失業率は上昇から低下に向かっています。
テリーザ・メイ現首相は不利な合意に署名するより、EUからの合意なき離脱の方がましと考えていますが、これは通商協定を結ばなければ、イギリスは世界貿易機関(WTO)ルールに基づいた税関管理や関税に移行することになるからです。
これについては、EU内のイギリスのビジネスパートナーは貿易戦争を望まないため今までと大差ないと主張する人もいれば、イギリス企業の対外取引コストが上昇するという見方もあります。
また、単一市場へのアクセスを失ったイギリスの、世界金融の中心という立場はどうなってしまうのかという疑問も生じています。
さらに、欧州大陸で暮らすイギリス人が居住権を失ったり、緊急医療を無料で受けられなくなったりすると考えている人もいます。
スコットランドと北アイルランドの投票結果は過半数が残留を支持しましたが、イギリス全土では「離脱」が優勢でした。
これにより、スコットランドと北アイルランドのイギリスからの独立志向への懸念が強まりましたが、こうした動きが広がりを見せることはなさそうです。
最近では国民投票の再実施が議論されていますが、再検討するにはどう見ても遅すぎるでしょう。
40年以上にわたる協定や合意を変えるとなれば、修正箇所は何千にもおよび簡単にはいきませんから、確実に膨大な時間がかかります。
前例がなく、何もかもがいっそう複雑さを増しているので、交渉者もある程度は実際に作業を進めながら方向性を見いだすことになります。
交渉の中で最も複雑なのはブレグジット後の貿易に関する合意です。なにしろ、欧州大陸の30を超える国や地域の議会の全会一致が必要ですし、これらの中には国民投票の実施を望んでいるものもあります。
テリーザ・メイ首相の1月の演説で、イギリスがEU単一市場に留まらない意向が示されました。
もしイギリスがEU単一市場に留まるのであれば、イギリスは欧州司法裁判所の管轄下にあり続け、EUの移民を無制限に受け入れなければなりません。
在留外国人である私の立場から言えば、これまで仕事は確保されてきましたが、ここイギリスで受けられるはずの優遇措置がいくつか失われるのではないかと不安です。
イギリス政府は現在国内に住むEU出身者の在留資格を保証することを拒んでいて、欧州大陸に住む数百万人のイギリス人について、他のEU加盟国と相互のコミットメントを確立できない限り保証は与えないとしています。
イギリスに5年以上滞在すると与えられる、永住権を取得したEU出身者の権利を侵害すべきではありません。
デイヴィッド・デイヴィスEU離脱担当相は、ブレグジットの観点から言えば、イギリスにやって来た欧州移民には現時点で残留資格がないことを示唆しました。
ブレグジットが正式に実現すれば、EU法廃止法案 (the Great Repeal Bill) が施行され、イギリスの法律においてEU法が最上位に位置することはなくなります。
メイ首相の「ブレグジットはブレグジット」という言い回しは今では決まり文句となっています。イギリスがEUと何らかのレベルで協力し合えるかどうか確信は持てませんが、この決定が政治的、財政的、経済的、商業的結果をもたらすことは間違いありません。


イギリスとイングランドの旗

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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