大半の人にとっては単なる道路、それ以外の人にとってはかつて有名だった音楽アルバムのタイトルにすぎませんが、多くの音楽ファンにとっては「かの有名な」アルバム、より正確に言えば音楽の歴史を作った「かの有名な」アルバムのジャケットを意味します。
何の話かというと、1969年にビートルズがこの路上で有名な写真を撮影し、道路と同名のアルバムのジャケットに使用したのです。
アビイ・ロードは『サムシング』などが収録されていることで有名なビートルズの12枚目のアルバムのタイトルで、音楽史上最高のアルバムの1つと言われています。
このアルバムジャケットのおかげで、ビートルズがほとんどのヒット曲をレコーディングした有名なロンドンのストリート、アビイ・ロードは文句なしに音楽界を象徴する存在となりました。
そして現在では、最も写真に撮られている横断歩道を見に何百万人ものファンがロンドンに飛んできます。
ビートルズがアビイ・ロードを選んだのは、彼らのレコーディングスタジオが単にそばにあったからです。
アビイ・ロードはロンドンのカムデン地区に位置しています。
カムデンはファンキーな建物、マーケット、巨大なリージェンツ・パークなどがあるロンドンで最もオルタナティブな地区で、イギリスの首都を訪れる観光客にぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
エリア内ではいろんな標識や、壁に書かれたサイン、名前、メッセージ、ロマンチックなようでバンダリズムが宿っている歌詞の一部などが目につくことでしょう。
ロンドンには見るべきものがありすぎるので、「無駄な時間」を過ごす暇などほとんどないかもしれません。
それでもなおビートルズっぽい写真を撮ることに挑戦してみると、ここでしかできない体験というだけでなく、とにかく楽しいと分かります。観光客もロンドナーもたくさんやって来て敬意を払ったり、「ビートルズ風の」グループ写真を撮ったりします。
私はロンドンに引っ越す以前、この街を初めて訪れたときに、ビートルズで一番好きな曲のひとつで、アビイ・ロードに収録されている『ヒア・カムズ・ザ・サン』をストリートアーティストが歌うのを耳にしました。
実際のところ、イギリスの首都を太陽が照らすことなんてそれほどありませんが、それ以来、この曲を聴くたびに初めてロンドンを訪れた日のことを思い出し、当時の記憶は今も色褪せずに残っています。
数カ月前、世界一有名な横断歩道へ久しぶりに出かけてみました。
アビイ・ロードへの行き方は簡単で、ベイカー・ストリートからバスか地下鉄に乗ってセント・ジョンズ・ウッドで降り、標識に沿って進めば到着です。
ビートルズの音楽を愛し、彼らの音楽とともに生きた人々にとって、アビイ・ロードは間違いなく重大な意味を持っています。
こうした人々より後の世代に生まれた私も、ビートルズマニアとして生きてきました。
そして、ビートルズを愛する若者が自分だけではないことに気づきました
ついにアビイ・ロードに到着すると、有名な横断歩道は大混雑していて、道の両サイドにはとびきりの1枚を撮ろうと大勢の、それも特に男性が既に列を作っていました。
横断歩道は大家族、若い女性たち、(オリジナル写真で靴を履いていない)ポール・マッカートニーをまねようとする裸足の少年たち、まるでTV番組から飛び出してきたような大はしゃぎのアメリカの少年グループに占領されていました。
こうした風景を彩るのは興味津々の通行人(私も含めて)と、道を進もうと待ち構えているバスや車のクラクションです。
それもそのはず、この道は通行止めになっているわけではなく、むしろ交通量の激しい交差道路なのです。
毎日この光景に耐えざるを得ない気の毒な近所の住人やバスの運転手の気持ち、想像に難くありませんよね。
それはともかく、この道を通るときは歩きにせよ車にせよ、ぜひリラックスして、Mp3のボリュームを上げ、お気に入りのビートルズソングを聴きながら「聖地」に足を踏み入れてみてくださいね!
アビイ・ロード