• 2020.03.11
  • 新たな劇場街としてのロンドン…
ロンドンには劇場目当てでやって来る人もたくさんいます。
この街でどんなミュージカルを見るかは、時期と個人的な好みによって異なります。
ミュージカルの中にはこれまで何十年も上演され続けている作品もあって、多くのロンドナーは一生のうちに少なくとも一度はこうした作品を見に行くことになります。
ミュージカルとは音楽とバレエがストーリーに融合した演劇なので、必ず音楽と歌詞、そして何より台本が必要です。
現在では、皆さんはミュージカルと言えばニューヨーク市マンハッタンのブロードウェイを連想するかと思いますが、ミュージカルのルーツはここイギリスにあるようです。
ミュージカルの直接的な起源はオペレッタ(コミック・オペラとも言う)にあり、1800年代にイギリスで特に人気を博したジャンルでした。
当時の台本作家と作曲家のコラボレーションによって制作された、『ミカド』や『ペンザンスの海賊』といったオペレッタは今でもここロンドンで上映されています。
この2つの作品がロンドンで上演されたことから、イギリスの伝統には、コミックオペラから現代のミュージカルを生み出した新たなジャンルとして、音楽で構成された演劇が新たに加わりました。当時でさえロンドンではミュージカル選びが大変で、数多くのショーが上演されていましたが、アメリカでは1800年代後半になって初めて独自のオペレッタとミュージカルが制作され始めたようです。
そしてこの瞬間から、ウエストエンド(ロンドンの劇場地区)とニューヨークのブロードウェイは常にライバルのような関係にあるわけですが、これまで敵対的であったことはまずありません。
かつては数多くの劇場がテムズ川沿いのバンクサイドとサウスバンクの至るところに建てられていました。
初めてのオペレッタが上演された当時、ウエストエンドはもちろんまだ存在せず、1700年代になって、この地域での新たな道路や建物の建設に伴ってようやく形成され始めました。
私が調べたところでは、最初にオープンした劇場はロイヤル・オペラ・ハウスで1732年にさかのぼります。1800年には現在のコヴェントガーデンとストランドの間のエリアに他の劇場もオープンし、今ではロンドンで鑑賞できるミュージカルや足を運べる劇場は選びきれないほどになっています。
ウエストエンドや演劇産業が衰退してきているという話を耳にしたこともありますが、私はそうは思いません。
演劇、とりわけミュージカルの観客は毎年増えているようで、チケット(特に手頃な値段のもの)を取るのは年中大変です。
ウエストエンドのシアターランドにひしめく劇場は、現在約40あります。


ロンドンのウエストエンド


ミュージカルのいいところは、高度な英語を身に付けなくても楽しく鑑賞できることです。ミュージカルで重要なのは音楽と振り付けなので、それだけでも十分ショーを満喫できます。
入り口で台本を買えば、出演者の名前の一覧だけでなく、これから見ようとする芝居やミュージカルのストーリーも確認できてとても便利です。
もし、ロンドンの劇場へ行けるチャンスが一度しかないなら、現地で見られるメジャーなミュージカルのひとつに『ウィキッド』があります。グレゴリー・マグワイアの小説をもとにしたこの作品では、『オズの魔法使い』では語られていない、良い魔女と悪い魔女になるまでのストーリーが明かされます。
ロンドンでロングラン公演が続いているその他の人気ミュージカルには以下の作品があります。
『マンマミーア』 - ABBAの曲で構成された、ロンドンで最も愉快なコメディミュージカルのひとつ。
『スリラー』 - マイケル・ジャクソンの名曲の数々をたたえた作品。これまで11年連続で上演され続けてきましたが4月に終了するそうです。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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