従来種よりも感染拡大がどうやらかなり速いらしい新型コロナウイルスの変異種がイギリスで見つかり(英語で言うと「cherry on top」、まさに「予想外のおまけ」ですね)、多くの国々がイギリスとのすべての航空便を相次ぎ停止し始めています。
現在、フランスがイギリスとの国境封鎖のためにドーバー海峡トンネルを閉鎖し、両国の商業の取引にもさまざまな問題が起こっています。そして、これに追い打ちをかけたのが、年末に予定されているブレグジット(イギリスのEU離脱)後の移行期間の終了です。イギリスとEU間の通商交渉がその日までに決裂してしまった場合に起こりうる影響を軽減しようと、多くの輸出業者が12月31日までに荷物の配送を詰め込みました。交渉が決裂すれば、輸送封鎖はEU加盟国全域に広がる可能性もあります。
2020年のクリスマスはもう目の前だというのに、今年はとってもささやかなお祝いになってしまいそうです。
政府の発表によって、ロンドンは12月20日から新たに導入された警戒レベル4に指定され、ロックダウン規制の一番高い状態になっています。
この期間限定の3世帯までのクリスマス・バブルも中止、クリスマス当日も自宅で友人たちと祝えなくなりました。
私たちロンドン市民は少なくとも12月30日まではステイホームしなければならず、外出も最小限、同居する家族以外で会ってよいのは1人だけ、それも屋外のみという条件付きです。
つまり、誰も通らない往来にはクリスマスの装飾とイルミネーションだけがさみしく光っているというわけで、クリスマスのショッピングやマーケット、スケートリンク―もうみんな忘れてしまいましょう。
となるとロンドンでクリスマスを過ごす人に許されるのは、ごくごくささやかなお祝いだけ。
私は同居人がいるので、彼と私のガールフレンドと一緒にクリスマスをお祝いするくらいはできます。その日は二人が私の家族ということで。
ただ、規制があるといっても市内で屋外の散策はできるので、歩いてかおそらくは自転車で、クリスマスのイルミネーションを楽しむこともできますし、家で豪華なランチを作って楽しんでから、雨降りや極寒でなければ市内の数ある公園や公共庭園のどこかで散歩したり、運動したりすることもおそらくできるでしょう。
もし寒かったり雨が降っていたりするようなら、テレビやストリーミングでクリスマス映画を観るのもいいですね。
今回、私たちはイギリス定番のクリスマスランチを作ることにしています。メニューはローストターキーの野菜添え、それからあらゆる種類の付け合わせ(副菜です)。付け合わせは、ニンジンにエンドウ豆やその他豆類で、ソースが二つ、一つはパンを砕いて生クリームにひたしたもの、塩こしょう、クローブ、オニオン、それからバターを火にかけ最後にクリームとナツメグを加えて作るブレッドソースと、もう一つ、クランベリーソースを添えます。伝統的なクリスマス料理には芽キャベツも入るのですが、必ずしも人気食材とはいえません(実は私はとても苦手です)。
メインに伝統の芽キャベツは入れませんが、デザートは定番に。クリスマス・プディングといって、卵や砂糖漬けの果物、ラム酒、スパイス、アーモンドで作られる円型のお菓子ですが、今回私たちは自分で作らずに地元のケーキ屋さんで買うことにしています。このお菓子、実は作るのが結構大変なんです。
ツリーの飾りつけは、もちろんもう終わっています。あまり知られていませんが、イギリスでクリスマスツリーを飾る習慣は19世紀後半に始まりました。もともとは古代のオランダや北ドイツにいたサクソン人(ザクセン人)の慣習で、ドイツ出身のアルバート公が、そのほかの多くのクリスマスの伝統的習慣とともに、当時のイギリス(グレートブリテン及びアイルランド連合王国)にこの慣習を持ちこんだのが始まりです。ツリーとなるモミの木はゲルマン文化の中心的な要素で、生命と再生の象徴であり、アルバート公は芸術と美を愛する、典型的なゲルマン人の王子でした。数年前、クリスマス休暇にロンドン博物館を訪れ、このことを知りました。
ロンドンの家にて:クリスマスの飾りつけ、みんなでシェアするお菓子