• 2022.01.20
  • クリスマスのデザート
今年はガールフレンドとその家族と一緒にクリスマスランチを楽しみ、ローストハムや野菜のキャセロール、それからクリスマスの最も定番メニューであるミンスパイとクリスマス・プディングなどクリスマスならではの料理を堪能しました。
彼女たちの説明によると、クリスマスの永遠の定番デザートであるクリスマス・プディングとサクサクのミンスパイ(年中いつでも食べられるひき肉のミンスパイのフルーツバージョン)、この二つはロンドンのクリスマスには欠かせないメニューなのだとか。

フルーツたっぷりのミンスパイは、昔からクリスマスシーズンに作られてきたイギリスの代表的なタルト菓子。
ショートクラスト・ペイストリーに使う生地に似た生地で作るサクサクのパイ皮と、フルーツの砂糖漬けやリンゴ、ドライフルーツ、スパイス類を使った濃厚なフィリングが大きな特徴です。
ミンスパイの起源は中世までさかのぼるようですが、フランス発祥の食べ物でイギリス古来のものではないという人もいます。
ただ、中世に作られていたミンスパイはひき肉を使った食事用のものだけだったとか。とはいえ、その当時もドライフルーツや新鮮なフルーツ、スパイス類が風味づけに必ず使われていたようです。
さてこのお菓子、実はサンタクロースの大好物だという不思議な言い伝えがあるので、クリスマスイブの夜にはツリーの下にミンスパイを置いておく子どもがたくさんいます。
言い伝えはほかにもあり、フィリングを混ぜるときは必ず時計回りに混ぜるようにと言われてきました。反時計回りにすると翌年に悪運を呼び寄せてしまうのだとか。
ミンスパイ作りの工程は全部で3つあり、かなり手間のかかる作業です。パイの中身のベースには、カスタードクリームのフィリングや、大人向けにドライフルーツを使用しブランデーとバターで風味づけしたフィリングが使われたりします。
1日中いつでも楽しめるミンスパイですが、クリスマスディナーの後にまだ残っていれば、ミルク入りコーヒーや紅茶と一緒に朝食を彩る一品としてあるいはティータイムのお供にもピッタリのひと品です。

さらに、クリスマス・プディングも英国の食文化を代表する、とても特徴のあるデザートです。
卵やアーモンド、フルーツの砂糖漬け、ラム酒、スパイス類で作り、ヒイラギの枝を飾りつけてからフランベしていただく、というのがこの国では一般的です。
オーブンで長時間焼かねばならないデザートで、焼きあがったらそれぞれの家の伝統に従って準備し、切り分けてカスタードクリームかリキュールで風味づけしたバタークリームを添えていただきます。
賞味期間が長いというのも特徴で、自分で作らないでお店で買ったものなら、かなり長く保存できるでしょう。
また、レシピにはプラムを使っていないのに「プラム・プディング」と呼ばれたりもします。
なぜそんな不思議な呼び名になったかというと、17世紀、「プラム」という語がレーズンをはじめとするさまざまなドライフルーツも意味していたからなのです。
当時、清教徒たちがこのお菓子を廃止しようと懸命に働きかけましたが、クリスマス・プディングはそんな逆境にも耐え、19世紀にはクリスマスシーズン定番のメニューとなりました。
チャールズ・ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』にも登場し、今や誰もが知る一品となりました。
時と共にレシピも完成し、使用する材料も増えに増えました。
イギリス庶民の文化に深く浸透しており、作り方にも受け継がれてきた慣習がいくつかあるようです。例えば、使用する材料の数はピッタリ13種類でなければならず、これより多くても少なくてもダメだとか、作るときは家族全員で作るとか、ヘラは時計回しにかき混ぜないといけないとか…。
また、クリスマスシーズンにこのプディングを一口も食べないと翌年に友人を失う、なんていう言い伝えもあります。


ミンスパイ

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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