イングランドが普通の日常に戻るということは、リモートワークや学校でのマスク着用の義務が終わることを意味します。
国民の多くは、今回の決定はジョンソン首相が自身のパーティー疑惑から有権者たちの注意をそらすために行った、非科学的で非常に政治的なものだと見ています。
すでにイングランドは日常生活への回帰に向けて公的に舵を切り、パンデミックの流行曲線を下降させ英国をピークから脱出させるのに有効であった一連の規制は取り除かれました。専門家たちによれば、この国はピークを「すでに乗り越えた」ようです。
英国政府が決定した通り、リモートワークの義務は解除され、学校ではマスクを着けなくてよいというわけです。
新たなフェーズは1月27日から始まり、この日から正式に公共の場でのマスク着用の義務は取り除かれ(ロンドン市長が市民に対して公共の交通を利用する時にはマスクの常時着用を求めてはいますが)、500人以上を収容するディスコなどの屋内施設や、4,000人以上を対象とするイベントなどの屋外会場に入場する際にNHSワクチンパスを提示する必要もありません。
ワクチンを2回接種した海外からの渡航者に対しては、到着から48時間以内にスワブ検査を受ける義務も撤廃されました。
新型コロナウイルスは永遠になくならない可能性が高いが、「エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)」であるため、何か問題が生じたとしても毎年定期的にワクチン接種するなどして対処すればインフルエンザと同様に制御が可能であると、保健相は国民に向けて発表しました。
現状の感染者数で、イギリスはパンデミック前のような生活に戻れるのでしょうか。
多くの人々がこのことを自問するかたわらでは、ロックダウン中に開催されたさまざまなパーティーに直接的もしくはスタッフを通じて間接的に関わった疑惑をめぐって、ボリス・ジョンソン首相が批判を浴びています。
一部の人々の間では、今回の規制撤廃は、自身に関する疑惑という苦薬を飲むためにジョンソン首相が支持者の手前、薬に「甘い衣をかけて」体裁を繕う行為だと批判する声が上がっています。したがって、この決定を科学的な判断というより、むしろ政治的な動きと見る人も大勢います。
コロナウイルスによるパンデミックが始まった後に、ボリス・ジョンソン首相とそのスタッフが開催してきたパーティーに関する政治的疑惑や一連の報道は「パーティーゲート」と呼ばれています。ロックダウンの規制などお構いなしに長期にわたり開催された一連の公私のイベントを指します。
曖昧な言い訳を繰り返した後、ジョンソン氏は現在、経済回復に向けて国境再開の措置を講じるなど、さらに具体的な行動計画に移行することを決定し、指導者としての立場を強固なものにしようとしています。
コロナウイルスに対しても、これを受け入れる方向に向かっています。個人の自由に関する規制は歓迎されず、容認されなくなっており、イギリス国民は今後、このウイルスと共存し、ワクチン接種やソーシャルディスタンス、マスク着用については自己責任で対処せねばなりません。
今は歩みを止めずパンデミック後の状況へ移行していく時期でもありますから、国民に責任感をもたせることは間違っていないとは思います。
各産業、観光、地元企業、人々の心の健康などのためにも、これは重要です。
昨年の夏の「自由の日」はあまり功を奏しませんでしたが、今回はまさに新時代の始まり、パンデミック後の豊かな時代の幕開けであってほしいと願うばかりです。
- 2022.03.09
- 「日常に戻る」へ、再び