• 2023.08.23
  • 一杯いかが?
昨年の8月はグレイト・ブリティッシュ・ビア・フェスティバル(Great British Beer Festival)に行きましたが、今年の8月はロンドン・クラフト・ビア・フェスティバル(London Craft Beer Festival)に行くのを楽しみにしています。
イングランドの人々はクラフト・ビールにもストリート・フードにも詳しく、この2つを組み合わせて、このイベントが開催されることになったというわけです。
ストリート・フードと地元産のビールが楽しめる祭典のようなもので、大人数で和気あいあいと囲めるテーブルが設けられ、各種イベントや親睦を深める集まりも催されます。
会期は3日間で、地元の人々も観光客も来場し、30を超える地元の醸造所や250種類に上るクラフト・ビールに出会えます。会場では試飲が楽しめますし、持ち帰り用も販売されています。

先程お話したとおり、昨年はロンドンでグレイト・ブリティッシュ・ビア・フェスティバルに行きました。毎年開催されるビアフェスです。
会場には種類豊富なビールやサイダー、ルートビアー(訳註:植物の根の汁などを使ったノンアルコールの炭酸飲料)が集まります。また、伝統的なパブ・ゲーム(訳註:ビリヤードやダーツなど、パブで楽しまれる各種遊戯)やライブ演奏、料理の屋台販売、ビールのテイスティングなど、さまざまなアクティビティが楽しめます。
英国中の醸造所や世界各地の有名な銘柄が集まる、この歴史ある祭典は、ハマースミス地区にあるオリンピアロンドンで開催されます。ビクトリア朝時代に建てられた巨大なエキシビション施設で、多くの人々が来場します。
前回行ったときはペリーも少し飲むことになりました。
醸造所の人から紹介されたのですが、この古代からある飲み物にまつわる話をいろいろ聞かせてくれました。
洋梨のシードル(訳註:シードルは別名サイダー、リンゴ果汁を発酵させて作るアルコール飲料)とも言われ、どうやら中世に広まった歴史あるお酒らしいのですが、その起源はさらに古く6世紀まで遡ります。
従来の製法はアップルサイダーと似ていますが、アップルサイダーよりも強めのお酒で、洋梨を発酵させて作ります。作り方はいたって簡単です。
おおまかには、まず、洋梨を搾って果汁を取り出し、これに白ワインの酵母を加えます。
発泡酒なので「イングリッシュ・シャンパン」とも呼ばれているそうです。
ロンドンはビールを楽しむのにぴったりの街と言えますが、その理由は消費量だけでなく品質の高さにもあります。
こうした一面を知るには、土曜日にバーモンジー・ビア・マイル(Bermondsey Beer Mile)を散策するのが一番よいでしょう。
バーモンジー地区はロンドン南部にあり、近年はロンドンにおけるビール復興の中心地となっています。
いわゆるこの「ビア・マイル」とは単に鉄道線路沿いに続く長い通りのことなんですが、線路の高架下にはこぢんまりした醸造所やクラブがひしめくように軒を連ねています。
醸造所やパブには一軒一軒違う魅力があって、提供されるビールは水準が高く、すばらしい新商品に出会えることもあります。
高架下のおすすめのスポットはいくつかありますが、ロンドン・ビア・ファクトリー(London Beer Factory)のセラーは間違いなくのぞいてみる価値があります。正真正銘の聖堂に樽がいくつも並んだ、とても魅力的なスポットで、すてきな雰囲気に包まれています。
こうした醸造所の中には、ブラインド・テイスティングができるところがあり、銘柄を伏せてビールを試飲させてくれます。すばらしい味のものばかりです。テイスティングに挑戦してビールの種類を当て、味覚の確かさを披露してはいかがでしょう。
ロンドンは魅力あふれるすばらしい街ですが、おいしいビールに目がない人たちにとっては、近年その魅力はさらに増しているようです。品ぞろえは驚くほど豊富ですし、なおかつ、ビールは英国人の文化や伝統、習慣の一部として街に定着しているので、朝の10時に一杯ひっかけても変な目で見られることはありません。周りの人たちもみな同じように一杯を楽しんでいるはずです。

つまり、ロンドンの醸造所を一めぐりすれば、英国人の陽気な酒文化の一面を存分に楽しめるというわけです。ご満足いただけること間違いなし。ということで、さあ乾杯!


特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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