朝食として超完璧な内容のこの食事をお昼時に近い時間帯に提供する店はロンドン市内に数多くあり、街のあちこちに見つけることができます。
この街では特に食については多彩なジャンルが楽しめ、世界各地の料理を探すのにも困りません。けれども、伝統的なブランチを味わえるスポットを見つけるのは難しくなってきました。
ブランチはアメリカ発祥の食事スタイルと言われていますが、今やヨーロッパの主要都市のどの街にも溶け込み、特にロンドンではすっかり定着しています。
ロンドンスタイルのブランチの一つである「フル・イングリッシュブレックファースト」は「フライアップ」(Fry up)とも呼ばれ、英国では朝食だけでなくブランチとしても提供されています。一般的にはベーコン、ソーセージ、目玉焼き、ブラック・プディング(血の入ったソーセージ)、ベイクド・ビーンズ (ケチャップを少し薄めたような、やや甘めのトマトソースで煮込んだ豆料理)、マッシュルーム、焼きトマト、トーストというメニューです。
もちろんバターも付いていて、パンにたっぷりつけていただきます。
アレンジを加えたメニューもさまざまあり、野菜が多めのものや、目玉焼きの代わりにスクランブルエッグが入っているものもあります。
ほかにも、バブル・アンド・スクイーク(bubble & squeak)と呼ばれる、さまざまな野菜を合わせてフライパンで焼いたパイ状の料理が含まれていることもあります。伝統的には、前日の夜のロースト料理に使用した残り物の野菜で作られる一品で、主にジャガイモ、ニンジン、キャベツが使われます。
また、ブランチはベーグル(ドーナツ型のパンで真ん中に穴が開いている)を食べるのが一般的で、ベーグルには普通ゴマやポピーシードがかかっています。
ベーグルのレシピも数えきれないほどあり、卵とベーコンかハムをのせたもの、おしゃれなものだと、スモークサーモンとフレッシュチーズをのせてディルをあしらったものもあります。
このほか、アメリカ発祥とされるパンケーキも、週末の豪華な朝食の定番の一つです。
何枚か重ねたパンケーキに香辛料を添え、トッピングにカリカリベーコンをのせ、メープルシロップがかかっています。パンケーキについては以前の投稿でもご紹介しましたね。
さて、イングリッシュブレックファーストに話を戻しましょう。卵料理は定番で、スクランブルエッグ、目玉焼き、固ゆで卵、半熟のゆで卵、ポーチドエッグ、オムレツなど形はさまざまです。
私の好物はエッグベネディクト。円盤型のイングリッシュマフィンにポーチドエッグとハムかベーコンをのせ、オランデーズソースをかけた一品です。ベーコンの代わりにスモークサーモンと野菜(ホウレンソウやケールが一般的)をのせたものもあります。
また、塩味の効いた油っこい料理の誘惑に負けたくない人には「ポリッジ」(porridge)と呼ばれるオーツ麦のおかゆもおすすめです。
ポリッジについてはこの料理だけで記事が一つ書けるくらい、ご紹介したい内容がたくさんあります。
とても英国らしい一品で、オーツ麦(カラス麦とも)のフレークと牛乳をベースに作り、新鮮なフルーツやナッツ類、ドライフルーツなど、さまざまなトッピングをかけて食べるのが一般的です。
どちらかといえば普段食べる朝食に近いのですが、ブランチとしても提供されており、「高カロリー」のものが添えられていることが多いと思います。
デンプンが豊富で風味豊かなオーツ麦のフレークを挽き、もしくは細かく砕くか刻んで、お湯または牛乳を加えて混ぜ、調味料で風味を付けて煮込みます。
出来上がったポリッジは、たいていは温かいうちにボウルによそって出されます。甘いポリッジと塩味のポリッジがあります。
甘いポリッジだと、味付けに砂糖やメープルシロップ、ハチミツなどが使われます。
甘くない、塩味のポリッジには、香辛料や野菜、肉、スープが入っています。
作り方はいたって簡単で、家庭でも作れます。
まず、定番のポリッジ用オーツ麦を用意します。私はボウルに大さじ3杯ほど入れますが、量はお好みに合わせてください。
紅茶の準備をするときと同じように、お湯を沸かします(牛乳や紅茶を使う人もいます、お好きなものを使いましょう)。
大さじ2~3杯のお湯をポリッジにかけ、さらにシナモンやナツメグを少々振りかけます(こちらの香辛料はお好みでどうぞ、アレルギーのある人はおやめください)。全体をよく混ぜ合わせます。水っぽいのが大好きな人もいれば(お湯を多めに)、私のように硬めが食べたい人もいるでしょうから、混ぜ加減も好みに応じて調整してください。
甘いポリッジ
塩味のポリッジ