英国の教育制度は少し複雑で分かりにくい―少なくとも私にはそのように感じられました。
まず、初等教育、中等教育、高等教育に分かれており、初等教育は4歳または5歳から11歳、中等教育は11歳から16歳、高等教育は16歳から18歳を対象としています。
義務教育は18歳までと定められています。
学校は公立が一般的で、国語、数学、科学、歴史、地理など幅広い科目を含む、ナショナル・カリキュラムに従って授業が行われます。
学生は限られた数の科目を選択しなければなりませんが、希望に応じて特定の科目を勉強する選択肢も与えられています。
注目すべき点として、英国の教育制度が高度に標準化されており、厳格な評価・モニタリング制度に基づいて実施されていることが挙げられます。
学生は試験によって評価され、学習進度の報告書が定期的に保護者に送られます。
一般的に英国の学校制度はとても厳しいことで知られ、学問や職業の世界で活躍できる力を育む質の高い教育を提供することでも知られています。
学校制度の指導、監督、管理は教育省が行っています。
通常、クリスマスとイースターの期間中は2週間休校になります。
3学期制で9月から12月までの秋学期、1月から3月までの春学期、3~4月から5~6月までの夏学期に分かれています。
一日の時間割は、午前8時から9時の間に始業、午後3時~4時頃に終業します。授業は一コマが40~50分で、休憩は2回あり、午前に短い休憩が1回、昼休みが30分ほど設けられています。
クラス分けはなく、生徒はこれまでの学校での成績や経験、学校が独自に提供するプログラムに基づき選択したコースで学びます。
通常は口頭試験がなく、成績は筆記試験や授業の課題によって評価されます。
また、英国においても、教育制度はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドと地域によって違いがあります。
その違いは、取得する資格や中間試験(intermediate exams)の有無ばかりでなく、初等教育の開始や大学進学が認められる年齢にも関係しています。
例えばスコットランドでは、大学へ進学するまでに14年間学校教育を受けることが可能です。
中等教育については、ウェールズも、北アイルランドも、イングランドと大きな違いはありません。
英国では公立学校に加えて、幼児教育から高等教育の最終学年までの全学年を対象とするボーディングスクールと呼ばれる私立の全寮制学校も数多くあります。
公立校と私立校、全寮制校と全日校の間で提供される学習プログラムに大きな差異はありません。
高等教育のディプロマ取得後は、イングランド、ウェールズ、北アイルランドでは、学士号取得のために学部学生として3~4年学ぶコースのほか、アプレンティスシップと呼ばれる勉強と仕事を組み合わせた6年制のプログラムがあります。
卒業後は、修士課程や博士課程などのプログラムが多数提供されています。
また、英国の中等教育には、GCSE(General Certificate of Secondary Education)プログラムと呼ばれる、14歳から16歳(第10学年~第11学年)の生徒を対象とした2年間のカリキュラムがあります。
このプログラムでは9~12科目を履修します。英語、数学、歴史、地理、外国語、科学などは必修科目となっており、その他は生徒の好みや適性に応じて選択します。
2年間のGCSEプログラムの最後に各科目で試験を受け、学業資格となるGCSEを取得します。
この時点で義務教育は一区切りとなり、生徒は、学業専業を終えて職業訓練など別の選択肢を探すか、次の2年間をAレベルプログラム、BTECまたはCTECコース、国際バカロレア(IB)ディプロマ用コースのいずれかから選択して学業を続けるか、を決めることができます。
従って、GCSEプログラムでどの教科を勉強するかは、それに続く高等教育の最終2年間の準備ともなるのでとても重要です。
高等教育の最終2年間の課程は「継続教育」(Further Education)と呼ばれ、学業を継続する場合は「シックス・フォーム」などのカレッジへ進みます。カレッジについてはいくつか選択肢があり、主なものをご紹介します。
1つ目はAレベルのディプロマ・プログラムで、関心のある大学学部に基づいて選択した3~4教科を学び、4年目に最終試験を受けます。
Aレベルのディプロマは、イタリアをはじめ世界各国で大学入学の条件として認められています。
2つ目はBTECプログラムで、近年ではCTECプログラムも同等の内容と有効性をもっています。
3つ目は、国際バカロレア・プログラムで、英国内外の大学入学の条件として広く認められています。
- 2024.07.02
- 学び方はひとそれぞれ