• 2024.07.19
  • ジャージー島
恥ずかしながら、初めてジャージー島(Jersey)のことを聞いた時、思わず大きな声で「それっていったいどこ?」と聞いてしまいました。
いろいろ調べてみると、ジャージー島はイギリス海峡に浮かぶ小さな島だということがわかりました。イギリス本土よりもずっとフランスに近い場所にあり、東の端から西の端まで車で1時間もあれば行けるほどの小さい島です。
ビーチでの日光浴やカクテルとは無縁ですが、ジャージー島の気候は英国で典型的に見られる気候と同じで、島には城や灯台、カラフルなマリーナが点在しています。
引き潮の時には、ぬかるんだ浜辺を長距離に渡って歩くこともできます。
さらに、自転車専用コースも数多くあり、サイクリングを楽しむ人にも配慮した島と言えるでしょう。


当初、私は島全体を自転車で巡りたいと強く願っていたのですが、島に到着したとたん、週末だけで全てを見て回るのは不可能だということに気付きました。ジャージー島は想像していたよりもはるかに大きく、街を繋ぐ内陸の道には街灯もないので、日が沈んだ後には周囲は暗闇に覆われるのです。
まずは、ビーチに行ってみました。思いもしなかった白い砂浜と澄んだ海が広がり、カラフルな家々が海を見下ろしています。
埠頭沿いに歩くと、シャワーや更衣室、日光浴スペースのあるデッキにたどり着き、ここからは階段でビーチに下りることができました。
島の南西の海岸へと向かい、湾に出ると、長く広い美しいビーチが目に飛び込んできます。海岸に面した広大な砂浜では、濡れた砂から潮の満ち引きの様子をはっきりと窺い知ることができました。
花が飾られた美しい遊歩道と、ビーチでサーフボードを抱えたライフガードたちの姿を見ると、まるでカリフォルニアにやって来たような気分になりました。
フィッシャーマンズ・チャペル(Fishermen’s Chapel)は、丘の上に立つ海を見下ろす小さな礼拝堂。創設はキリスト教が誕生した初期の頃まで遡ります。当時はコミュニティや地元の裕福な家庭が礼拝堂に資金提供をするのが常で、司祭は報酬をもらって、悪魔が入ってこないようにここで祈りを捧げていたのです。
礼拝堂の名前の由来については、詳しいことはわかっていません。島の漁業組合にちなんだとも、フランス語で「罪人」を意味する「péchés」が「pecheurs(漁師)」に変化したとも言われています。

ジャージー島の北岸は風が強くて岩場が多く、海を見下ろす高い崖があります。この崖にはいくつかの種類の鳥が暮らしていて、春から夏にかけてはツノメドリの姿も見ることができます。
お城は1330年あたり、百年戦争が始まった頃に、地元の農民たちがフランス軍の攻撃から避難する場所として建てられました。
グロスネズ城(Grosnez Castle)には、今でも城門と城壁の一部が残されています。
さらに、城の裏手には小さな自動信号場へと続く階段があります。1806年に建てられたこの信号場は、海軍の信号を近くのガーンジー島(Guernsey)に送信するための施設で、高台からは目の前に広がる絶景を楽しむことができます。


私たちはセント・オービン(St. Aubin)にも足を延ばしてみました。ここでは干潮時には浜辺から城まで歩いていくことができます。
その後、ジャージー島の首都セント・ヘリア(St. Helier)を徒歩で散策して、眠気を誘う晴れた日曜の午後を過ごしました。
この島の首都は明らかにとても小さく静かですが、キング・ストリート沿いには色鮮やかな店のショーウィンドウが並び、港にはボートが穏やかに佇み、商店の人たちはのんびりと片づけをしながら日曜の早閉めの準備にとりかかっていました。
やがて、フランス軍のこの島への最後の攻撃となった、かの有名な1781年のジャージーの戦いが行われた王立広場へとたどり着きました。この日、イギリス軍はフランス軍と短時間の激戦を繰り広げました。勝利を収めたものの、現在も広場の壁には弾丸の跡が残されています。
昔からイギリス領になったりフランス領になったりした歴史から、ジャージー島は両国の文化を併せ持っています。通りの名前は全てフランス語ですし、一部では仏英両方の言葉が使われています。
島の住人たちは英語を話しますが、古い文献はフランス語で書かれています。
ジャージー島は多くの人が訪れる島ではありませんが、強くお勧めしたいスポットです。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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