• 2024.09.09
  • ケンジントンの魅力を探る
ケンジントンは、ロンドンで訪れた中ではおそらく最も好きな地区の一つです。
真っ白やパステルの色調の壁面が特徴的なエドワーディアン様式の家が軒を連ね、並木道や公園、ミュージアムもあり、そして賑やかな通りを見下ろす優美な建物が立ち並んでいます。

そのケンジントンが含まれるケンジントン&チェルシー地区は、ロンドンで王室特別区と呼ばれる3つのエリアの一つです(残り2つは、キングストン・アポン・テムズとグリニッジです)。
王室特別区と呼ばれるのは単純に、王位に就いた者の生誕の地だからです。ケンジントンの場合はビクトリア女王の誕生という大きな出来事があったからとされています。
現在はロンドンの一部に含まれていますが、16世紀以前は一つの町として独立しており、当時の町名「ケンジング・タウン」(Kensing Town)から現在の地名「ケンジントン」(Kensington)になった、という説があります。
ロンドンの他の多くの地域と同じく、ケンジントン&チェルシー地区の歴史も川に由来があります。かつては小さな港町があり、住民のほとんどはテムズ川で生計を立てる漁師が占めていました。
16世紀の記録によれば、川には鮭がたくさんいたそうです。信じられませんね。
今日、ケンジントンはロンドンで最も洗練された有名なエリアの一つであり、アーティストを始め政治家や芸能人がこの地を住まいに選び、世界各国の大使館が本部を構えています。
興味深い情報を一つ。ケンジントンのアパートや家は英国でも最も不動産価格の高い住宅とされているようで、それも納得がいきますね。


この王室特別区は非常に広大な面積を占め、計6つの地区(ブロンプトン、チェルシー、アールズコート、ホランド、ケンジントン、ノッティングヒル)から成り、東部にあるナイツブリッジは隣接するシティ・オブ・ウェストミンスター地区にまたがっています。
ほぼ住宅街になっている地区もあれば、ミュージアムや観光名所、歴史名所があることで有名な地区もあります。
ケンジントン宮殿はバッキンガムやロンドン塔と同様に、英国国王ゆかりの場所としてロンドン有数の重要建築の一つであり、その名を冠した地区に位置しています。
ビクトリア女王はこの宮殿で生まれ、当時使用されていたアパートメントは今も見学できます。
なお、宮殿内の他のエリアの多くは公開されていません。
オンラインでチケットが購入できるので行列に並ばずにすみますし、見学の計画も立てやすいですね。
宮殿からはハイドパーク内のエリア、ケンジントンガーデンズが一望できます。宮殿と同名を配したこの庭園は地域にすっかり溶け込んでいます。
水辺が豊かで、散歩をしたり、ちょっとくつろいだり、スポーツを楽しんだりするには最適の場所です。
特に、文学ファンなら、英国作家のジェームズ・マシュー・バリーの空想から生まれたキャラクター「ピーター・パン」が巻き起こす出来事の冒頭部分で、ハイドパークの宮殿にほど近いこの一角が舞台となったこともよくご存じのはず。
「大人になりたがらない少年」として知られるピーター・パンの彫像は、園内指折りの美しいモニュメントの一つであり、イタリアンガーデンとランカスター・ゲートそばの入り口から目と鼻の先にあります。
また、サウスケンジントンには、メインストリートからわき道に入らない限り見過ごしてしまいそうな特徴的な建物、シン・ハウス(Thin House)があります。
サーロー・スクエア(Thurloe Square)5番地に位置し、サウスケンジントンで活動する多くのアーティストの工房として1885年から1887年にかけて作られたもので、ロンドンで最も厚みのない建物です。
実際に見ると、まさに目の錯覚を起こす造りになっています。角を曲がって側面から見ると、この赤レンガの建物は手前が一番狭く、奥に向かって広がります。奥行きたった約1.8mから通常のサイズとなる約10mに伸びていくのです。
興味深い建物なので、ぜひ旅程に組み込んでいただきたいスポットです。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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