EUを離脱して地政学上の不安や経済的な課題が山積するなかでも、その見事な再起の力と魅力により不動の地位を築いてきたロンドン。今回の調査では、唯一この都市だけが、ナイトライフの充実度や美術館・博物館の層の厚さなど複数のサブカテゴリーで首位を獲得しています。
また、学生から海外の投資家、観光客、企業の役員に至るまで、非常に人気の高い滞在先でもあり、あらゆる階層の人々を魅了するこの街は総合的な住みやすさのカテゴリーでも上位に付けています。
当然ながら、海外旅行者の支出額でも年間150億ドルを上回って世界で第3位、ヨーロッパ地域では首位を誇ります。
現在ロンドンは、ガトウィック空港の改修などインフラの改善に力を入れており、交通網においてもエリザベス線の駅増設など大がかりな開発に取り組み、アクセス向上に向けた大規模なプロジェクトを推進中です。
このほか、「カムデン・ハイライン」(Camden Highline)と名付けられた再開発計画も進められています。数十年前に廃線となった鉄道の高架部分1マイル(約1.6キロメートル)をニューヨークの有名なハイラインに着想を得て再利用するプロジェクトで、2027年に高架道に生まれ変わる予定です。歩行者や自転車が通行でき、様々なアウトドアアクティビティが楽しめるスポットになります。
市政を司る市長職には、持続可能性と成長を重視するサディク・カーン氏が、2024年5月初旬に三選を果たしました。選挙前の公約で市民が求める「より公平で、安全で、緑豊かなロンドン」の実現を掲げたことが大きな理由です。平等という名のもとでより公平に、近年頻発する犯罪に対して市民をより安全に、都市で自然を楽しめる緑の空間や地域を拡充してより緑豊かに、というものです。今のところ少なくとも3点目については見事に達成されています。
同市長は大気汚染の削減や気候変動への対策を実施すると共に、グリーンインフラの構築に努めてきました。市長のこうした貢献により、ロンドンは先見の明のあるグローバルな首都としてさらに評価を高めてきました。
また、繁栄度においても上位にランクイン。今年も世界的な企業や投資家にとって魅力ある選択肢とされ、EU離脱が何ら影響を及ぼさなかった事実が浮き彫りになりました。

ロンドンの一風景
また、ロンドンのホスピタリティ業界も世界が認めるロンドンの魅力を牽引しています。
近年、開業したホテルでは、歴史の豊かさと現代的な高級感を見事に融合させて新たなロンドンの魅力を創り出しています。
今年、「世界のベスト都市ランキング」では選出基準が大きく3つ設けられました。「住みやすさ」の指数では緑の空間、健康、空気の質、家賃の手頃さが重視され、「魅力度」ではレストラン、文化活動、名所、博物館・美術館、インスタグラムの投稿数(ハッシュタグなど)、ショッピング、ナイトライフ、「繁栄度」では投資、教育、大学、雇用機会がそれぞれ重視されます。回答者から集めたデータを基に都市ごとに各部門のスコアが算出されます。

ロンドンの一風景
世界の270以上の大都市を対象にレゾナンスが行った調査によれば、ロンドンは10年連続で首位を維持しています。
豊かな文化的娯楽、活気あるナイトライフ、世界屈指の優れた空港アクセス。こうした要素が魅力をさらに高め、ロンドンを市民と観光客双方にとって魅力あふれるグローバルな拠点にしています。
調査では2万人以上を対象に以下の3点が質問されました。
1. いつか最も住んでみたいと思う都市3つとは?
2. 今後1~2年以内に最も行きたい都市3つとは?
3. 雇用の機会が最も多いと思う都市3つとは?
2025年版「世界のベスト都市ランキング」は次の通りでした。
1. ロンドン(イギリス)
2. ニューヨーク(アメリカ合衆国)
3. パリ(フランス)
4. 東京(日本)
5. シンガポール
6. ローマ(イタリア)
7. マドリード(スペイン)
8. バルセロナ(スペイン)
9. ベルリン(ドイツ)
10. シドニー(オーストラリア)
上記10都市のうち、シンガポールと日本を除く8都市を訪れたことがあります。この都市の中から選ぶなら、きっとロンドンを選ぶと思います。
ロンドン市民だから? そうかもしれませんね。