夏のロンドンには面白いことがたくさんあり、その多くは無料で提供されています。一年を通して常に美しい街ですが、季節ごとに装いや雰囲気を変えていきます。
特に夏は、屋外でのアクティビティやピクニック、星空の下でのコンサート、テムズ川沿いのロマンチックな景色など、さまざまな楽しみが待っています。
テムズ川はロンドンの夏を象徴する風物詩の一つです。
川辺で過ごす時間は格別で、夏は最高に楽しめます。
まずは日没を待って、テムズ川沿いのパブが軒を連ねるエリアへ向かいます。堤防に腰かけ、川で催されるアクティビティをのんびり見物しながら飲むビールは格別です。
ところで、一点。ロンドンの夏は夜10時頃まで明るいため、その時間まで川沿いは多くの人で賑わっていることをお忘れなく。
私自身はテムズ川のほとりに座り、ボート漕ぎの練習の様子や、街の中心部まで人を乗せて航行している船、沈みゆく夕日、パブの前でおしゃべりに興じる人々や川沿いをジョギングする人たちなどを眺めるのがとても好きです。
お気に入りのスポットは、中心部から少しはずれた、観光客も少なめのハマースミスやリッチモンド。この街で最もロマンチックな地区の一つです。
さて、テムズ川では毎年、トータリー・テムズ・フェスティバル(Totally Thames Festival)と呼ばれる祭典が開催され、この川に関連するさまざまなイベントが行われます。
リージェンツ運河沿いは都心に近いにもかかわらず、とても穏やかで静かで、昔ながらの典型的な田園風景を今もとどめており、新たなロンドンの一面に出会えます。
ハウスボートは活気と彩りにあふれ、その豊かな創造性に驚かされるでしょう。
また、この季節は屋外コンサートも盛んです。
ロンドンで開催されるコンサートには、特別な魅力があります。この街で披露される音楽やパフォーマンスは格別なのです。
参加するアーティストたちはこの街で演奏することを心待ちにしていますし、観客も音楽にとても精通しています。みんな歌詞を覚えていますから、アーティストと一緒に歌ったりして、さまざまな形で交流し、素敵な時間を過ごすのです。
世界を見渡すと、敷地面積が広くて美しい都市公園はたくさんありますが、ハイドパークはその中でも五本の指に入る、素敵な公園だと思います。また、ロンドン市民に最も愛されている緑地の一つでもあります。
その理由はいたって明快です。約150ヘクタールの広大な敷地には、噴水や絵のように美しい池、彫刻、記念碑など、興味深い見どころを備えています。
ロンドン中心部という特殊な場所にあり、長い歴史を持つこの公園は、ロンドン屈指の人気スポットです。オックスフォード・ストリートやハロッズ、ロイヤル・アルバート・ホールなど、街の名だたる観光名所に囲まれています。
かつてタイバーンと呼ばれる死刑執行場所があった北東入口付近には、スピーカーズ・コーナー(Speaker's Corner)があり、言論の自由の舞台となっています。
1872年に法律が制定されて以降、この場所ではテーマを問わず公開演説を行うことが許可されています。
現在でも、毎週日曜日になると、新進の演説家や名もない政党の一党員に加えて、年齢や背景、社会的階級を問わずさまざまな討論者がここに現れ、多種多様な考えや理論を語り、時に賑やかな楽しい光景が見られます。
しかし、かつては、カール・マルクスやレーニン、ジョージ・オーウェル、エメリン・パンクハーストなど、名だたる歴史上の人物たちがこの演壇から演説をしていました。
さて、ハイドパークでは毎年6月から7月にかけて約3週間、ブリティッシュ・サマー・タイムハイドパーク(以下、BST)と呼ばれる野外フェスが開催され、公園は巨大な野外ステージに一変します。
2013年に始まって以来、ロック界やポップス界の国際的大スターが舞台に上がっており、ブルース・スプリングスティーンやローリング・ストーンズ、ライオネル・リッチー、テイラー・スウィフト、ラナ・デル・レイなどのアーティストがパフォーマンスを披露しました。
ここで一つ注意点を。人気の高いコンサートはチケットがすぐ売り切れになりますので、お忘れなきよう。
BSTでは、ハイドパークの中心エリアで4日間にわたり、アクティビティや夏ならではの楽しい企画を提供しています。
毎年7月の2つの週末に開催されるこの期間中は、映画やライブ音楽、スポーツなどが数多く催され、ストリートフードの販売も行われるなど、ハイドパークは大いに賑わいます。
ロンドンでは最近、夜に屋外で映画鑑賞を楽しむ人がますます増えています。夏は特に人気で、ハイドパークでは娯楽の夕べの企画を催し、巨大なスクリーンに毎晩平均2本、早い時間帯と遅い時間帯の2部に分けて上映しています。
夜になると、メインステージではゴスペル合唱団によるライブ音楽パフォーマンスが無料で開催され、スピリチュアルな雰囲気の中で踊りを楽しむ魔法のような夕べが繰り広げられます。
会期中はあっと驚くようなストリートフード・マーケットもありますので、しっかり備えておきましょう。同マーケットは正午からオープン。国際色豊かな料理をあれこれ試してみるのも楽しいでしょう。
また、さまざまなポップアップ・バーも立ち並び、生ビールからワイン、クラフトカクテルまで、厳選されたアルコール飲料を提供しています。例年通り、本場のイタリア人シェフが作ったおいしい料理も楽しめます。
ラジオ局はイベント会場からライブ中継を行い、世界中から集まった選りすぐりのミュージシャンやアーティスト、演劇俳優のパフォーマンスをリスナーに届けています。
一部の劇団は、高い評価を受けている作品を無料で、生の舞台で演じます。
以上ご紹介しましたが、ロンドンの夏に開催されるフェスはこの他にもたくさんあります。
最近、私が行ったフェスでは、人気の屋外会場で魅力あふれるアーティストたちが集うコミュニティ・フェスティバル(The Community Festival)、数百人のアーティストがパフォーマンスを披露するケンダル・コーリング(Kendal Calling)などがあります。
- 2025.09.11
- 音楽が奏でるロンドンの夏