• 2025.12.08
  • ドーバーの断崖「ホワイトクリフ」
英国を訪れる人々の多くは、飛行機でやって来ます。
また、数百万もの人は列車で、英仏海峡を越えてロンドンに向かいます。
しかし、ドーバーの白い断崖「ホワイトクリフ」を目にすることができるのは、フランスのカレーやベルギーの港からフェリーで来る人たちに限られます。
とはいうものの、幅数キロメートル、高さ150メートルにも及ぶこの崖は、今なお英国人にとって最も愛される風景の一つであり、世界的にも英国を象徴する存在であり続けています。
ホワイトクリフではその絶景を楽しめるだけでなく、地質学的や生物学的、そして歴史的な側面から英国の悠久の記憶に触れることができます。
数百万年にわたる自然の歩み、数千年に及ぶ人々の争いや旅立ち、帰還、そして希望の物語をたどる体験ができるのです。
自然の偉大な力と人間の儚い歴史が重なり合う白い断崖に、訪れる人々は深い感動をおぼえるでしょう。

ホワイトクリフは、白亜紀に形成された脆い石灰岩でできています。この数十年間、ナショナル・トラストによって保護されてきました。
断崖や展望ポイントへの立ち入りは無料ですが、ビジター・インフォーメーション・センターや灯台での買い物や飲み物の購入といった形での寄付は、いつでも歓迎されています。
車でビジター・インフォーメーション・センターまで来て駐車すれば、崖まではそれほど遠くありません。
ドーバー・プライオリー駅(Dover Priory Station)から歩くと距離が少し長くなりますが、センターを過ぎればすぐに美しい眺望が広がります。ただし、崖の縁へ続く小径は非常に危険ですので、ご注意ください。
また、いかにも英国らしい運営で、注意喚起の表示もなければ安全対策の設備もありません。訪れる人自身が責任を持って行動するよう求められます。
ドーバーのホワイトクリフは間違いなく英国指折りの人気を誇る観光地であり、ロンドンから日帰りで行ける、絶景スポットでもあります。
自然が作り出した壮観は、息をのむような眺望や新鮮な海の空気という魅力を備え、英国の景観の神髄を垣間見ることができます。
英仏海峡を見下ろす崖からは、晴れた日にはフランスの海岸まで一望できます。ですが、ホワイトクリフを特別なものにしているのは景観だけではありません。この崖は英国を象徴する存在であり、第二次世界大戦中は英国への玄関口として、また他国からの侵攻に対して防壁のような役割を果たしていた歴史があります。
今日では、このスポットは、自然を散策して深呼吸し、国を代表する美観を堪能するのに最適な場所となっています。
断崖に沿って伸びる道はアクセスも容易で、気ままに歩きながら大海原やドーバーの港の壮観を楽しむのも一興です。
どなたでも歩けるコースですが、ところどころ緩やかな上り坂になっています。
白い石灰岩の岩肌と緑豊かな植生が織りなす幻想的な美しさも、この地の大きな魅力であり、写真好きの方なら、携帯の画像ギャラリーを埋め尽くすほどのすばらしい被写体にも出会えるでしょう。
道を進んでいくと、サウス・フォアランド・ライトハウス(South Foreland Lighthouse)と呼ばれる、すばらしい建築が現れます。ナショナル・トラストが管理している、歴史ある灯台です。ここで一休みして、小さなティールームで紅茶を楽しみ、この建物がかつて英仏海峡を航行する船に必要不可欠な役割を果たしていた歴史を知ることができます。
また、ホワイトクリフから車なら数分、徒歩で約40分の場所には、英国で最も重要な中世の要塞の一つとされる、壮大なドーバー城がそびえています。
戦略的な立地にあり、はるかローマ帝国時代から何世紀にもわたって防衛の要所として機能してきた歴史がうかがえます。
現在は一般公開されており、中世に建てられた塔をはじめヘンリー二世の宮廷や、第二次世界大戦中に秘密軍事司令部として使用された地下トンネルまで、時代を超えたすばらしい旅が満喫できます。
もし個人で旅行を計画し、時間に余裕があるなら、ドーバー城を訪れてみるのもお勧めです。旅の一日に歴史豊かな味わいを添えてはいかがでしょう。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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