英国が欧州連合(EU)を離脱(ブレグジット)して以降、ロンドンはどのように変化したでしょう。
7年ほど前に英国で暮らしていた人ならおわかりでしょう。EU離脱の始まりを告げる国民投票が実施された直後、街には緊張が走り、海外でも衝撃が広がりました。
投票の結果、僅差で、欧州共同体(EC)およびEUに長年加盟してきた国が離脱し、その後の国際政治に多大な影響を及ぼすことになりました。
離脱の理由について、一部の国民は、ヨーロッパの官僚主義や過剰な規制という「重荷」から解放されたかったから、そして、移民政策において主導権を強化したかったからだと主張していました。
一方で、反対意見を唱える国民もいて、EUに残留すれば外交上の後ろ盾が得られ、何百万という潜在的な顧客を抱える市場への自由なアクセスが確保でき、スコットランドやアイルランドの独立への希望を抑える手段ともなる、という声が上がっていました。
そんな状況のなか、英国のEU離脱は2020年12月31日をもって完了し、47年にわたるECおよびEUとの関係に終止符が打たれました。
そしてこの日から、EU市民の渡英事情が一変しました。
離脱以前は入国する際、自国のIDカードがあれば良かったのに対し、渡航規則が変更になり、観光目的であっても有効なパスポートの提示が求められるようになったのです。
2025年からは、たとえ数日間の旅行であっても、新たな渡航認証が義務付けられています。
離脱をめぐっては、長年にわたり疑念や憶測が飛び交い、幾度となく実施が遅延されていましたが、欧州からの観光客にとっても現実の話となったようです。
2021年10月1日に入国時のパスポートの提示が義務化されことにより、英国政府が今後EUからの観光客をどのように管理していくのか、その方向性がようやく少し見えてきました。
現在は、渡航時の重要なルールが新たに追加されています。
2025年4月以降、EU市民は渡英前に電子渡航認証(ETA)を申請しなければならなくなりました。
パスポートは、少なくとも英国滞在期間中の全期間において有効でなければならず、ETAの申請も必須です。
ETAはビザではなく、申請者のパスポートにデジタルで紐づけられる「渡航許可」といった位置づけになります。
この制度は、米国のESTAと呼ばれる電子認証制度に類似しており、国境の安全強化と入国規制の改善を目的としています。
ETAを取得すれば最長6カ月英国に滞在でき、申請にかかる費用はごくわずかです。現在は約10ポンドで、申請方法も簡単です。オンラインか専用アプリから申請可能で、認証されれば2年間有効です。
短時間で簡単に申請できますが、手続きは出国前に完了しておく必要があります。渡航される方は、十分な余裕を持って申請を済ませておきましょう。手続きは以下の通りです。
・所定の手数料を支払う
・連絡先およびパスポート情報を提出する
・デジタル写真の規定に従った有効な写真を提出する
・一連の質問に回答する
大抵は、申請して数秒で返信が届きますが、場合によっては最大で3営業日かかります。このため、英国政府は余裕を持って申請をするよう強く推奨しています。
そのほか、EU離脱によってロンドンで大きく変化しているのは、人々の懐事情でしょう。
確かにインフレは欧州経済ほぼ全般に影響を及ぼしているのですが、ロンドンではEU離脱とパンデミックにより、特に込み入った状況になっています。
他の市場と同様に、この街でも物価は上昇傾向をたどっており、その一因としてポンド下落が挙げられます。
観光名所は特に悲惨です。多くの経営者が、パンデミック中の2年間の損失を取り戻そうと値上げに踏み切っており、まさに狂気じみた状態です。
以前からロンドンの物価は常に高く、不動産価格の上昇や値上がり幅において過去の記録を塗り替えてきました。けれども、EU離脱に続きポストコロナの時代を経て、街は今や制御不能の状態。手ごろな価格のものなどまず見つかりません。
結論として、この街は規則や習慣、物価の面で一変したと言ってよいでしょう。
生活費は高くなる一方ですが、幸いなことに給与も上昇しています。
欧州市民が英国への移住を希望する場合、まず自国で、スポンサーライセンスを持つ英国企業から就職の内定を受けることが必要です。これをクリアし、ビザを申請して審査に通過すれば、合法的に英国への移住が認められます。
- 2026.01.16
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