• 2016.04.19
  • 勇気を持って社交の練習
日本でもよく異業種コミュニケーションのための会や、同業者同士の懇親会などが開かれますが、ベルリンでもその種の会から招待されます。意外と共通の悩みを持っていたり、国境を越えて解決しなければならない課題が垣間見れて、他者(社)との交流の大切さを痛感することも多いです。

ベルリンには「ベルリン・ミュージック・コミッション」という組織があって、そこの関連でパーティーなどが年に数回、いろんなテーマで開催されます。
今回出席したのはアーティストマネージメントを担う関係者の集いで、「Kulturbrauerei(クルトゥアーブラウアライ)」と呼ばれる映画館や音楽ライブ会場併設のホールで行われたパーティーでした。

Kulturbrauerei
このパーティーには「1社につき1名のみ出席のこと」というルールがあります。決して仲の良い同僚と来てはいけません。同業者の会ということもあって、だいたいの顔は知っているだろうと思いつつ会場に入ります。ちょっと早めに開場と同時に中にはいって人が集まってくるのを待っていました。知り合いが入ってくるのを期待して、とりあえず受付でもらったドリンクチケットで“クラブマテ”を頼みます。一人で飲みながらの時間潰しはとても退屈です。同僚や友人と来ていればなんてことない談笑の時間になるはずが、本当に長く寂しい時間に感じるものです。

パーティーのスタート時間になったころ、気付くと、当然ながら同じく一社一名出席のルールに則って来場した人たちが、ワイングラスやビール片手にキョロキョロとしています。自分と同様に知り合いがいないか探しているのは一目瞭然。パーティーは特になんの合図もなくいつの間にか時間が来ればスタートしているという感じです。MCが特別なにかをコメントしてパーティーをスタートさせるわけではありません。同業社同士が集約された閉ざされた空間で、立食メニューを選びに行ったり、バーでドリンクをもらうタイミングに、隣にたまたま居合わせている人に語りかけること。これがひとつの大事なアクションになってきます。
福岡出身の私としては、屋台のノリで隣席に声を掛ける勢いです。恐らくここにいる中でアジア人は自分ひとり。予想では90%ドイツ人、残りがフランス人、スウェーデン人、イタリア人、オランダ人など。そんな中、とにかく声を掛けまくるのです。もうこの必死さは、したことないですがナンパにチャレンジし続ける様相でアウェイ感は半端ないです。

パーティーは、間にサウンドアーティストのパフォーマンスや映像作品の上映など唐突に始まるアトラクションを挟み、21時を廻った頃、これまた自然に閉会となるのですが、名刺交換(こちらでは「次もあるだろう」と思った別れ際に交換します)しあった人達と再会を約束して会場を後にしました。こういうスタイルのパーティーは普通らしく、日本だとどうしても知っている者同士が固まってしまう習慣が多く見受けられるものの、ヨーロッパの人達の人脈の築き方がなんともフランクであり、そしてシンパシーを感じる相手とはお互いのメリットのために助け合うような、そんな空気を感じたパーティーでした。

Kulturbrauerei-2


特派員

  • 羽生 和仁
  • 職業キュレーター、メディアアートマネージメント

2001年ベルリンにて、メディアアートのキュレーションレーベルonpa)))))を設立。世界各国のアーティストやフェスティヴァルとの人脈を構築。ベルリンと東京のジェットセッターとして活動中。

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