- 2015.07.31
- イタリア人のビーチにかける情熱
夏、イタリアのリグーリア州では穏やかな夏の夜を楽しむために友人たちと海辺を歩いたり、夏だけ開業するレストランのパティオで新鮮なシーフードを食べたり、地中海の暖かい水の中を泳いだりして過ごします。しかし、多くのイタリア人にとって、夏の到来には1つの重要な意味があります。それは、日焼けを競い合うシーズンが来たということです。
写真:リグーリア州のスポトルノビーチ
海岸で見せびらかすため、誰もが完璧に日焼けすることに情熱を燃やし、いち早く日焼けしようと高額な日焼けサロンに通うという「不正行為」すら行われます。冬の間は肌の色が白くても「大目に見て」もらえますが、温度計が25度を超えてから白い腕や足を見せることはイタリアでは恥ずべき行為です。
東南アジアを旅行中、その地域ではほとんどの人が紫外線から肌を保護し、特に女性は白い肌でいることを好むことを知りました。イタリアとはなんという違いでしょう!イタリアで晴れた日に白い肌をしていたら、働き過ぎでビーチに行く暇もないのだと思われてしまいます。日に焼く時間を持つことはイタリア人にとって権利であり、夏の「義務」でもあります。
ビーチは多くの人にとってはリラックスする場所です。本を読んだり、最新のゴシップを仕入れたり、日の光の中で昼寝を楽しんだりします。また、一部の人にとってはビーチバレー、ボート、ダイビングなどのスポーツを楽しむ場所でもあります。
リグーリア州のビーチは複数のロット(区画)に分かれています。これらのロットの大半は所有も管理も個人がしていて、誰もが無料で利用できる公共のロットはほんのわずかしかありません。プライベートロットではたいてい、その所有者一家が「stabilimento(スタビリメント) 」と呼ばれるビーチクラブを経営し、ビーチパラソルやデッキチェアを貸し出したり、個人用の脱衣所など、海辺で必要な設備を提供しています。ビーチクラブでは人々は社交的になり、見知らぬ人ともオープンにおしゃべりを楽しむので、そこで知り合った友人同士でサークルを作ったり、夏が来るたびに同じビーチクラブに通ったりします。
写真:設備のない無料の公共ビーチ
ビーチではもっぱら日焼けに時間を費やしますが、ビーチクラブではプールで泳いだり水中エアロビクスのクラスに参加することができ、トランプやテーブルサッカーをしたり、パラソルで隣あった人と他の海水浴客の噂話をして過ごします。
写真:設備を備えた個人所有のビーチクラブ
こんなことを言うのもおかしいでしょうが、イタリア人にとって1年で一番悲しいときは日焼けの色が褪せるときです。それは夏が終わったことにほかならないからです。