• 2015.09.25
  • ジェノヴァ、地元の人が集まる場所と方言
アペニン山脈と地中海の間に挟まれたリグーリア州の細長い土地はハイキング、登山、水泳、スキューバダイビングなどを楽しむ人々にとっては楽園です。
   リグーリアはイタリアのリヴィエラと呼ばれ、アラッシオやポルトフィーノなどは一流の海辺のリゾートとしてだけでなく、チンクエ・テッレを取り囲む荘厳で美しい村で人気を集めていますが…
では、地元の人はどこに行くのでしょうか?
ジェノヴァ(英語名ジェノア)は、イタリアのリグーリア と呼ばれる地域に位置する中規模の都市で、この地域の首府でもあります。この街は多くの外国人旅行者に見逃されていますが、芸術の中心地として栄え、伝統が守られているので、娯楽や文化を求めて地元の人々が集まります。
かつて、ジェノヴァの港は漁師や船員たちが集まる危険で怪しげな場所でしたが、今では世界的に有名な水族館、古いガレオン船を利用した博物館、多くのレストランなどが立ち並び、近隣の地中海諸国を結ぶクルーズ船が忙しく行き来するハブになっています。
  ジェノヴァは2004年に「欧州文化首都」に選ばれました。それ以来、この街の活気ある港を訪れたり、オペラを鑑賞したり、1543年 に建設された灯台、ラ・ランテルが見えるレストランで新鮮なシーフードを食べようと地域の内外から多くの人が集まり、にぎわうようになりました。ラ・ランテルは現在ではこの街で最も重要な史跡になっています。

   

   

1

   
               
  • ジェノヴァのネプチューンのガレオン船、現在は博物館
  •    
   

2

   
                   
  • ジェノヴァのランドマーク、ラ・ランテルナ
  •    

  私のようにジェノヴァ出身者は船員と探検家の子孫で、イタリア語でジェノヴェシと呼ばれています。最も有名なのは、もちろん、クリストフォロ・コロンボ (コロンブス)でしょう。コロンブスはこの街で生まれ、「新世界」を発見する前の少年時代をこの地域で過ごしています。ジェノヴェシはこの偉大な探検家の子孫であることを誇りにしていて、コロンブスの人生や発見、訪問先を展示した博物館を開設するほどです。  会社や学校が忙しくないとき、ジェノヴェシはビアXXセッテンブレでウィンドウ・ショッピングを楽しみます。ビアXXセッテンブレは、1マイルほどの通りにおしゃれなブティックや激安ショップが並ぶファッション・ストリートです。また、夜になると、おとぎ話に出てくるような、人がようやく1人通れるくらいの道幅も珍しくないカルッジと呼ばれる小道を散策したりします。カルッジにはトラットリア (典型的な大衆食堂)が何軒かあって、そこでは伝統的なペスト・ソースやフリッテッレと呼ばれる地元のタラのフリッターを食べることができます。

   

3

   
               
  • C. コロンブスに捧げる博物館の肖像画
  •    
   

4

   
                   
  • コロンブスが子供時代を過ごしたジェノヴァの家
  •    

           ジェノヴェシはこの街をジェノヴァとは呼ばずに、ゼーナ(Zêna)と方言名で呼びます。ジェノヴァの方言は古代に起源を持ち、歌や詩や民話など、ジェノヴァの方言で書かれた出版物があるため、欧州連合(EU)では1つの言語として分類しています。残念ながら、若い世代はイタリア語でのコミュニケーションを好むため、リグーリアの人の中でもこの方言を流暢に話せるのはわずか8%しかいません。

 
   

5

   
               
  • 狭い土地にひしめくジェノヴァの建物
  •    
   

6

   
                   
  • 狭い小道、カルッジ
  •    


        数年前、ジェノヴァにリグーリアの方言と伝統をテーマにした地域センターが開設されました。その建物は、リグーリア州とイタリア文科省のほか、さまざまな文化団体とのコラボレーションによって建設され、方言、地元の歴史、伝統、歌、詩、物語、ダンス、ゲーム、祭りなどに関する2,000以上の資料が集められ、半世紀にわたるドキュメント映像やテレビ番組のコレクションもあります。このセンターは一般市民や地方自治体、学校の訪問を歓迎していますが、その目標はこの地域の方言を話す機会を増やし、生きた言語として守り、そしてなによりも、新しい世代にその存在を伝えることにあります。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

パトリツィア・ マルゲリータの記事一覧を見る

最新記事

リポーター

最新記事

PAGE TOP