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  • 2017.05.23
  • グラスアートと陶芸
イタリアのリグーリア州といえば、海やビーチ、地元料理、漁師、そして狭い路地に夏のバカンス客が溢れる賑やかな小さな村などがよく連想されるのですが、応用美術の分野においては、リグーリア州は窯業と吹きガラスの代名詞です。
この窯業と吹きガラスの技術には長い伝統があり、数世紀にも渡る経験と情熱の賜物なのです。
この地域では赤土が採れるうえ、白土が周辺地域に散在しているため、リグーリア州はヨーロッパでは窯やグラスアート、陶器で有名な地域です。

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造形美術である窯業
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リグーリア産の手作りの吹きガラス

陶芸に関しては、ちょうど16世紀から17世紀にかけて、マヨリカ焼の普及に伴い、陶器生産が盛んに行われました。マヨリカ焼とは、白地にコバルトブルーの模様が施された陶芸で、主に自然の形象的なデザインが描かれています。当時、イタリアは陶器の生産が盛んな国で、その多くはスペインに輸出されていました。
またその頃、イタリア人はスペインに陶芸学校を開いており、今やスペイン製陶器はイタリア製と同じくらい有名です。
20世紀初頭には、何人かの偉大なイタリア人芸術家が陶芸に表現性や芸術性を見出し、この地域への注目を集めようとしたため、この産業はさらに有名になりました。リグーリア州の町には、芸術家や知識人、画商、作家といった人々が移住してきて、討論や芸術制作を行うことで発展に繋がったというところもあります。そういった町の1つに、アルビソーラという小さな漁師村があるのですが、今や陶器産業が盛んとなり、大規模な美術館やアートギャラリーも建っています。
現在は、この地域には陶器生産者や窯元が相当数あり、そこでは皿や盆、茶碗、装飾品、壷などが作られています。陶器の品は、ボンボニエーラと呼ばれる結婚式の引き出物としてなど、特別な機会によく贈られます。
また陶器には、食器などに使われるものもあれば、単なる飾り物もあります。キリスト降誕を表す人形にもこのような技術を使うことがあり、そういったミニチュアの中には陶器製のものもあります。
ほとんどの陶芸工房ではレッスンを開いたり、特別注文を受けたりしています。

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アルビソーラ特有の青と白の絵柄の陶器壷

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陶器製のミニチュア・キリスト降誕人形

中世以降、芸術的価値の高いガラス制作に従事する職人の技術のおかげで、リグーリア州の芸術性が認められ、その高い価値ゆえ、ここがヨーロッパにおける吹きガラス制作の拠点となったのです。
この工芸の起源についてはさまざまな説がありますが、その中で最も信頼に足る論拠の1つによると、1130年この地に修道院を建てたベネディクト派に端を発するそうです。当時、修道士はこの芸術を教える立場にあり、その生産の発展は州経済に多大な貢献をし、土地の人口増加に繋がりました。
1495年には、ある職人グループが自らグラスアート学校を設立し、それは1823年まで存続しました。その後、吹きガラス芸術協会が設立されましたが、これは、第二次世界大戦勃発とともに訪れた手工業の危機を乗り越えるべく、80人を超えるガラス職人たちが団結して立ち上げたイタリアの協同組合で、芸術性豊かな文化遺産である地元のガラス制作の伝統を復活させるため、グラスアート学校を開設しました。
イタリアは、グラスアートにとっては恵まれていることに、教会が多くある国なので、吹きガラス職人はバラ窓の制作に専念したのでした。
今やガラス制作は、同州全域における最も重要な生産資源かつ経済資源の1つであり、千年以上もの間、父から子へとその伝統を受け継いできた卓越したイタリア職人気質を象徴しています。

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リグーリア州、サヴォーナ市近郊のアルターレで作られた吹きガラス

リグーリアのグラスアート講師は世界中で人気が高く、特にイタリア国外での需要が非常に高いので、彼らは手吹き法の技術を利用したガラスのドアや窓、芸術的な品、さまざまな種類の容器などの作り方を教えるため、世界を渡り歩いています。
この地の遺産とは、古くから伝わる伝統であり、それはサヴォーナ市近郊のアルターレという小さな町にあるガラス博物館で鑑賞することができます。この博物館は、所蔵の芸術作品の美しさを引き立てる、素晴らしいアール・ヌーヴォー様式の建物内にあります。
博物館にはマルチメディア・ツールが装備されており、吹きガラス制作の全工程を解説してくれます。また、この技術を習得したい若者などを対象に、対話型コースが通常夏に開催されています。そこでは、吹きガラス制作に必要な基本テクニックの理論から実践までを指導してくれます。

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アルターレの教会を描いたグラス
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私の名前を彫った特注グラス

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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